ウィーン国立歌劇場11月からのアーカイヴの今日は、3月から閉鎖されて9月に新シーズンを迎え、ライブストリーミング第1弾として配信されたリヒャル・トシュトラウスの「エレクトラ」が、無料アーカイヴとして登場しています。指揮はウェルザー=メスト、演出はハリー・クプファー、コロナ明けで歌手たちもエネルギーが有り余っての迫真のステージでした。
エレクトラ/リカルダ・メルベート Ricarda Merbeth
クリュテムネストラ/ドリス・ゾッフェル Doris Soffel
クリソテミス/カミラ・ニールンド Camilla Nylund
オレスト/デレク・ウェルトン Derek Welton
エギスト/イェルク・シュナイダー Jorg Schneider
第1の少女/モニカ・ボヒネク Monica Bohinec
第2の少女/ノア・ベイナルト Noa Beinart
第3の少女/マーガレット・プランマー Margaret Plummer
第4の少女/レジーネ・ハングラー Regine Hangler
第5の少女/ヴェラ=ロッテ・ベッカー Vera-Lotte Boecker
監視の女/ドンナ・エレン Donna Ellen
若い召使/ロバート・バートネック Robert Bartneck
年老いた召使/ダン・パウル・ドゥミトレスク Dan Paul Dumitrescu
オレストの後見人/マーカス・ペルツ Marcus Pelz
クリュテムネストラの腹心の侍女/アンナ・ネカメス Anna Nekhames
クリュテムネストラの裾持ち/ステファニー・メイトランド Stephanie Maitland
指揮/フランツ・ウェルザー=メスト Franz Welser-Moest
演出/ハリー・クプファー Harry Kupfer
舞台/ハンス・シャーファーノッホ Hans Schavernoch
衣装/ラインハルト・ハインリッヒ Reinhard Heinrich
振付/アンゲラ・ブラント Angela Brandt
リヒャルト・シュトラウスの「サロメ」と同様に「エレクトラ」も、おどろおどろし内容になってます。エレクトラの父アガメムノンは、母クリテムネストラと愛人のエギストとが不倫関係になり、殺されてしまう。エレクトラにはクリソテミスとオレストという弟妹がおり最後には死んだはずの弟オレストが出てきて、母も愛人のエギストも殺して、腐った王国を建て直す。
幕が開くと、アガメムノンの巨大な像ところがる首、像から垂れ下がるロープを掴みながら歌うことでアガメムノンと繋がっていることを象徴している。腐った骨肉の塊を拾い集める6人の召使女が生々しい。「女王様なのに犬と同じものを食べさせられている」とか「旦那様に殴られる」とか、ギリシャ悲劇のいじめも相当なもの。
タイトルロールのエレクトラ(リカルダ・メルベート)は、最初から最後まで出ずっぱりでハードな役を歌い切ります。そして妹クリソテミスがカミラ・ニールンドで「影のない女」「カプリッチョ」「アラベラ」を歌った宮廷歌手の称号を持っっているソプラノ、そして母クリテムネストラがまたぴったりのドリス・ゾッフェルです。ずーと前に「こうもり」でオルロフスキー公爵を歌ったのを覚えています。初めから緊張の連続で一気に「エレクトラ」の世界に入ってしまいました。オペラって凄いですね!