ミューザ川崎で夏の音楽祭がありました。7月22日〜8月9日までの間オーケストラ公演やピアノ公演、ジャズ公演、など20公演が開催されていました。我が家はオーケストラ公演と8月末まで見放題のオンライン鑑賞券を購入しました。下の公演は実際にミューザに行って聴いたものです。
8月9日(月)
東京交響楽団 フィナーレコンサート
指揮:原田慶太楼
ヴェルディ/歌劇「アイーダ」から凱旋行進曲とバレエ音楽
かわさき=ドレイク・ミュージックアンサンブル/かわさき組曲
~休憩~
アダムス/アブソリュート・ジェスト
吉松隆/交響曲第2番「地球(テラ)にて」(2002年改訂版)
東京交響楽団
指揮/原田慶太楼
弦楽四重奏/カルテット・アマービレ
コンサートマスター/水谷晃
フェスタサマーミューザ川崎2021は8月9日に閉幕を迎え、昨年と同じく原田慶太楼の指揮で現代作品を取り上げて締め括る。
ヴェルディの「アイーダ」から凱旋行進曲とバレエ音楽、に続いてかわさき=ドレイク・ミュージックアンサンブルによる作品。
後半は、カルテット・アマービレが加わってジョン・アダムスのアブソリュート・ジェスト。
ベートーヴェンという素材を使って、ジョン・アダムス風な混ぜご飯となっています。中の具には弦楽四重奏曲13番、16番、交響曲9番、7番、ピアノソナタ第21番などが入っています。
最後は吉松隆の交響曲2番「地球(テラ)にて」この曲は、今回の東京オリンピック開会式の最後、聖火が点火されるところで使われたそうです。吉松さんとのプレトークもありました。リハーサルから作曲者自身の指導を受けられたのでよかったとのこと。
第1楽章 挽歌 東からの 湾岸戦争のプレッシャー 中近東からアジア日本の旋法やリズム
第2楽章 踏歌 北からの 2002年にスケルツォ楽章として追加
第3楽章 鎮魂歌 西からの アダージョ楽章 キリスト教の音楽 ラテン語の典礼文が隠し歌
第4楽章 雅歌 南からの アフリカ風のカリンバのリズムに乗って歌われる大地の讃歌
最後はアーメンで終結するアフリカ風「ボレロ」
最初の湾岸戦争のカオスの音、凄かった。
以前日フィルで聴いた時より感動が大きかったのは、どうしてなのかな。
演奏後の拍手は、2階席にいる作曲者の吉松さんにも向けられました。
8月7日(土)
日本フィルハーモニー交響楽団
指揮:下野竜也
ウェーバー/歌劇「オベロン」序曲
ヴォーン=ウイリアムス/「グリーンスリーヴス」による幻想曲
ニコライ/歌劇「ウインザーの陽気な女房たち」序曲
~休憩~
ベートーヴェン/劇音楽「エグモント」全曲
語り/宮本益光
ソプラノ/石橋栄実
コンサートマスター/扇谷泰朋
前半は、シェイクスピアの作品からメンデルスゾーンではなくてカール・マリア・フォン・ウェーバーの「オベロン」序曲、次はラルフ・ヴォーン・ウィリアムズの「グリーンスリーブス」による幻想曲、そしてオットー・ニコライの「ウィンザーの陽気な女房」オットー・ニコライはウィーン・フィルの創設者で3曲ともによく演奏される曲です。
後半はゲーテのの作品からベートーヴェンの劇音楽「エグモント」、エグモント序曲だけはよく演奏されるのですが全曲は初めて、あまり演奏されていない曲ですがやはりベートーヴェンの作品ですので素晴らしいですね!
お話は、フランドルの領主エグモント伯爵がスペインの圧政に立ち向かうが捉えられ、恋人クレールヒェンの愛の死による救済によって、魂の救済と精神的な勝利を得る。語りはバリトンの宮本益光が日本語で語り、ソプラノの石橋栄実がクレールヒェンを歌う。
1809年のウィーンは、ナポレオン戦争の真っ只中、ウィーンはフランス軍に占領されて「ステイホーム」を余儀なくされていた今のような時、宮廷劇場の支配人が劇場を救うため人気作曲家だったベートーヴェンに作曲を依頼した。歴史ロマンと序曲、オペラ・アリア、間奏曲、セリフとBGMなど、長い戦争に耐えている市民のみんなを非日常の世界に誘いたいというベートーヴェンの気概を感じさせる作品となっている。
下野マエストロがこの作品を選んだ理由がよくわかりました。
8月6日(金)
東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:アンドレア・バッティストーニ
ヴェルディ/歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲
レスピーギ/組曲「シバの女王ベルキス」
~休憩~
ニーノ・ロータ/ハープ協奏曲
レスピーギ/交響詩「ローマの松」
ハープ/吉野直子
コンサートマスター/近藤薫
東京フィルハーモニーの首席指揮者のバッティストーニ指揮、イタリア特集です。コロナ禍にあってバッティストーニ自身も直前シドニーのオペラハウスで、「アッティラ」「オテロ」というオペラを完成に近い状態でロックダウンになってしまい、日本で演奏できるということが本当に嬉しいとプレトークで言っていました。
ヴェルディの「シチリア島の夕べの祈り」序曲の後は、
レスピーギの組曲「シバの女王ベルギス」、アラビア風の旋律や東洋的なリズムで師匠リムスキー=コルサコフの「千夜一夜物語」に似ています。そして日本の太鼓を戦いのドラムとして今回は用いています。物語は現在のエチオピア付近にあるシバ王国の女王ベルキスが、悩みを解決するため、膨大な献上品を持って知恵者であるイスラエル王ソロモンの元を訪れたという旧約聖書の記述に基づいている。
後半は、映画音楽で有名なニーノ・ロータのハープ協奏曲、ハープは吉野直子さん、1楽章と3楽章にカデンツァがあるオーソドックスな構成。一際輝く吉野さんのハープでした。アンコールも素晴らしい!(M.トゥルニエ:演奏会用練習曲「朝に」)この後も吉野さんお忙しそうです。
最後はレスピーギの「ローマの松」です、バッティストーニお得意の大編成で大音響、ミューザ川崎ホールの音響の良さでキリッと聞こえるのは不思議ですね。
子供たちが踊り遊ぶ夕刻のボルゲーゼ庭園、スピリチュアルなムード漂う地下墓地では舞台裏からトランペット独奏、ナイチンゲールの声と月光の映えるジャニコロの丘、軍隊の足音がひびく早朝のアッピア街道では、P席上のオルガンの両側にバンダを揃えてクライマックスへ向かいます。バッティ素敵でした!
8月4日(水)
京都市交響楽団
指揮:広上淳一
ブラームス/ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲
~休憩~
ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」
ヴァイオリン/黒川侑
チェロ/佐藤晴馬
コンサートマスター/石田泰尚
2008年に京都市交響楽団の常任指揮者に就任し、14年間京響とともに音楽を作って来た広上マエストロですが、親友で音楽評論家の奥田佳道とのプレトークでは、京響との長い付き合いの中での温かみとかリラックス感とか自然体の中で良い音楽ができて来たということです。
ブラームスのドッペルコンチェルトは、1887年ブラームス54歳の時の作品で、オーケストラを使って描いた最後の作品、ヴァイオリンは京都出身の黒川侑、ブリュッセルの堀米ゆず子さんに師事し数々の賞をもらっている、チェロは佐藤晴真、2019年日本人として初めてミュンヘン国際音楽コンクールで優勝してこちらも数々の賞をもらっている、チェロは宗次コレクションより貸与されたE.ロッカ1903年。
1楽章のブラームスらしいちょっと重い感じとは変わって、3楽章はハンガリー調の軽快なリズムと旋律がチェロからヴァイオリンそしてオーケストラに広がって1度聴いたら忘れられない。ドイツのいいところを受け継いだと広上マエストロが言っていた佐藤晴真君のチェロ、確かにシチューのようにゆったり力強く味わい深かった。
後半、ベートーベンの「英雄」広上マエストロと京響のメンバーの信頼感溢れるのびやかで堂々とした演奏。
次の3月公演で広上マエストロは京響常任指揮者を卒業するのですが、11月7日にはファイナルコンサートin 東京が予定されているそうです。
ぜひ皆様もどうぞ!
7月31日(土)
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
指揮:高関健
スメタナ/連作交響詩「わが祖国」
東京シティ・フィルハーモニーと指揮者の高関健のスメタナ(1824-1884)「我が祖国」
第1曲「ヴィシフラド」は高い城という意味
第2曲「ヴルタヴァ」は、有名なモルダウと呼ぶプラハ市内を流れる大河
第3曲「シャールカ」プラハ北東にある谷の名前で、伝説の猛女の名前でもある
第4曲「ボヘミアの森と草原から」田園風景の中で、農民たちが収穫を祝いポルカを踊る
第5曲「ターボル」チェコのフス派の拠点ボヘミア南部の町の名前
第6曲「ブラニーク」ボヘミア中部の山の名前でチェコフス派の英雄的な戦いを讃えている。
19世紀後半の民族主義が台頭する時代に祖国愛に満ちた作品でなんと言っても第2曲の「モルダウ」が演奏会で取り上げられる機会が多いですね。
7月27日(火)
読売交響楽団
指揮:鈴木雅明
ボロディン/交響曲第2番
~休憩~
ラフマニノフ/交響曲第2番
コンサートマスター/林悠介
7月26日(月)
東京都交響楽団
指揮:カーチュン・ウォン
リスト/交響詩「前奏曲」
チャイコフスキー/ロココ風の主題による変奏曲
~休憩~
ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」
チェロ/岡本侑也
コンサートマスター/山本友重