9月28日(金)

読響第581回定期演奏会は、シルヴァン・カンブルラン指揮で、「ラ・ヴァルス」。

曲目
ペンデレツキ/広島の犠牲者に捧げる哀歌
シマノフスキ/ヴァイオリン協奏曲 第1番
〜休憩〜
ハース/静物
ラヴェル/ラ・ヴァルス
指揮/シルヴァン・カンブルラン
バイオリン/諏訪内晶子
コンサートマスター/長原幸太

クシシュトフ・ペンデレツキ(1933ー)は、ポーランドの作曲家、指揮者として活躍する敬虔なカトリック教徒で「広島の犠牲者に捧げる哀歌」によって世界的に知られるようになった。トーン・クラスターと呼ばれる音群の技法により1961年パリで行われた国際作曲家会議に出品し、最高賞のユネスコ賞を受賞した。

同じくポーランドのカロル・シマノフスキ(1882−1937)は、ウクライナの貴族の家系に生まれ、両親からピアノの手ほどきを受けた。ポーランドでは民族意識が高まり音楽においてもシマノフスキ達は「若いポーランド」というグループを1905年に結成し保守的な楽壇と距離を置いた。
諏訪内さんのヴァイオリンでヴァイオリン協奏曲1番は、ポーランドのヴァイオリニスト・コハンスキのために書かれ官能的でオリエンタリズムが息づく。後半のカデンツァは、コハンスキが創っている。
アンコールは、イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ2番の1楽章。

ゲオルク・フリードリッヒ・ハース(1953ー)は、現代のオーストリアを代表する作曲家の一人。創作の初期から平均律の響きに限界を感じ、スペクトル楽派の音楽に基づき幻想的な響きを作り出すようになった。
「静物」も2003年バーデンバーデン&フライブルグSWR交響楽団と首席指揮者だったカンブルランの指揮で初演され、大きな成功を収め、カンブルランに献呈された。
巨大な甲虫の群れが羽音を立てながら襲ってくるような音楽でした。

最後がモーリス・ラヴェル(1875−1937)の「ラ・ヴァルス」。1855年頃の皇帝の宮廷の時代はJ.シュトラウス二世が活躍し、ウインナワルツの音楽に乗せて、全員が同じ方向に向かっていた時代、ラヴェルの音楽には同じように回っても何も生み出すことができないとする虚無感や絶望感が渦巻いている。彼自身、志願兵として前線に赴いた第1次世界大戦後の喪失感に加え、最愛の母親を亡くして心身共に衰弱していた。雲の間に甘美なワルツが聞こえたり消えたりと不思議な「破壊の円舞曲」でした、ラヴェル素敵! カンブルラン、捉えどころのない虚無感が漂って素敵でした。

読響 カンブルラン 「ラ・ヴァルス」
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