1月12日(土)
〜2019年新春の幕開けはフレッシュな響とともに〜
日本フィルハーモニー交響楽団の第344回横浜定期演奏会1月はドヴォルザークの「新世界」と決まっています。今回は指揮が下野竜也、ブラームスのドッペルコンチェルトのヴァイオリンは三浦文彰、チェロがフィンランド系オランダ人の若きヨナタン・ローゼンです。
ベートーヴェン/「プロメテウスの創造物」序曲作品43
ブラームス/ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調作品102
~休憩~
ドヴォルザーク/交響曲第9番ホ短調作品95「新世界より」
指揮/下野竜也
ヴァイオリン/三浦文彰
チェロ/ヨナタン・ローゼマン Jonathan Roozeman
コンサートマスター/木野雅之
ソロ・チェロ/菊地知也
横浜定期はプレトークがあり、今日はヨーロッパ文化史研究家の小宮正安氏の担当で、今回キーワードは文化交流から生まれたプログラム。
ベートーヴェン(1770−1827)の「プロメテウスの創造物」は、イタリア人の舞踊家ヴィガーノの依頼を受けて作曲した数少ないバレエ音楽で、その序曲の部分のみ演奏。バレエの初演は1801年3月21日の宮廷劇場。
次のブラームス(1833−1897)のドッペルコンチェルトは、最後の大規模な管弦楽曲でユニークな名曲として有名ですが、当時長年の友人であるヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアヒムと仲違いをしていて、お互いの心の溝を埋めるため曲中で独奏ヴァイオリンを用い、その意見をヨアヒムに求め、好意的な意見を受けたため、1887年10月18日ケルンにおいて、チェロのローベルト・ハウスマンとヴァイオリンのヨアヒムを独創者に迎えて作曲者自身の指揮で初演された。
20歳前半ののヨナタン君と三浦君の新鮮なコンビで演奏されました。
最後のドボルザーク(1841−1904)とブラームスの関係は有名ですが、今回はドヴォルザークが1892年ニューヨークのナショナル音楽院の創設者ジャネット・サーバー女史に招かれ1895年春までの2年半に及ぶ音楽院院長職時代に次々と傑作を書き上げた。そのジャネット女史に焦点を当てます。彼女はデンマーク系アメリカ移民の娘でたまたまパリの音楽院で学んだりし、サーバーさんというお金持ちと結婚しN.N.音楽院を作って黒人でも受け入れるという教育方針をたてた。その影響でドヴォルザークは様々なアメリカの民族音楽を採集研究し、弦楽四重奏曲「アメリカ」などに反映させている。ドヴォルザークがアメリカにあったボヘミア移民の村を訪れ作曲されたのが「新世界交響曲」1893年。
というわけで、下野マエストロのこだわりの選曲による新年の「新世界」は、力強いタクトでキリッとしまった演奏を聴かせてくれました。
アンコールは、ドヴォルザークの歌曲「我が母の教えたまいし歌」を管弦楽に編曲したものでオーボエがメロディーを、トランペットがソロを、ヴィオラの合奏が素晴らしくハッとするような編曲でした。