9月4日(金)
日本フィル第723回東京定期演奏会は、新シーズンの幕開けということで、毎年 山田和樹・日本フィル正指揮者が指揮をすることになっている。新型コロナの影響でなかなか演奏会ができなかった中、しっかりしたプログラムで生演奏を熱望していた観客を魅了してくれました。
ガーシュウィン/アイ・ガット・リズム変奏曲
ミシェル・ルグラン/チェロ協奏曲(日本初演)
~休憩~
五十嵐琴未/櫻暁(おうぎょう) for Japan Philharmonic Orchestra(世界初演)
ラヴェル/バレエ音楽「マ・メール・ロワ」
指揮/山田和樹
ピアノ/沼沢淑音
チェロ/横坂源
コンサートマスター/扇谷泰朋
ゲスト・ソロ・チェロ/伊東裕
7時からの開演ですが6時半から山田和樹マエストロのプレトークがあり、サントリーホールへ帰ってきたことを本当に喜んでいる様子が伺えました。大好きなガーシュインからミシェル・ルグランのチェロ協奏曲、それから五十嵐琴未の新作「櫻暁」とラヴェルの「マ・メール・ロア」本当に素敵なプログラムです。
ガーシュイン(1898-1937)は、沼沢淑音くんのピアノで「アイ・ガット・リズム」変奏曲で、ガーシュインのミュージカル「ガール・クレイジー」でうたわれる曲、クラリネットが初めに、ピアノからオーケストラに入りジャズらしいノリの良い演奏会の初めにふさわしい曲です。
次が横坂源さんのチェロでなんとミシェル・ルグラン(1932-2019)のチェロ協奏曲、ミシェル・ルグランといえば「シェルブールの雨傘」など映画音楽で有名ですが、今回の曲はコンテンポラリー音楽の部類に入るかなとマエストロが言っていました。そしてミシェル・ルグランは、去年お亡くなりになったんですね!
チェロの横坂源さん、全く休む暇のない曲なので、譜面台二つを並べて、時々はマエストロが譜めくりをしていました。
アンコールは、ピアノの沼沢淑音さんとフォーレの「アプレ・レーヴ」(夢のあとに)でした。
休憩があって、若くて素敵な五十嵐琴未さんの作曲した「櫻暁」は、「枕草子」の、〝春はあけぼの ようよう白くなりゆく山ぎわ〟なんて言葉が浮かぶような、そんな感じかしら。世界初演で、本人は会場にいましたが、舞台には出ていらっしゃらなかったですね。
最後はラヴェル(1875-1937)の「マ・メール・ロワ」英語でマザーグース。今日は組曲でなく、バレエ全曲バージョンを取り上げます。
「前奏曲」「紡ぎ車の踊りと情景」「眠れる森の美女のパヴァーヌ」「美女と野獣の対話」「親指小僧」「パゴダの王女レドロネット」「妖精の庭」からなっている。フルートの真鍋さん、ピッコロの難波さん、オーボエの杉原さんの日フィル美女トリオが大活躍。
「美女と野獣の対話」では、ハープのグリッサンドによって野獣コントラファゴットがヴァイオリン・ソロに変身する鮮やかな描写が、王子役の扇谷、野獣から王子にその場で変身みたいで面白い。
本当に楽しい、若い才能にあふれた日本フィルの東京定期演奏会でした。