3月5日(金)の日本フィル東京定期演奏会は、予定していた首席指揮者のインキネンがコロナ禍で日本にくることができないので、カーチュン・ウォンが指揮することとなりました。シンガポール生まれのカーチュ・ウォンは、今この時期注目の指揮者となっています。
ショスタコーヴィチ(バルシャイ編曲)/室内交響曲作品110a
R.シュトラウス/オーボエ協奏曲ニ長調
~休憩~
ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」
指揮/カーチュン・ウォン
オーボエ/杉原由希子
コンサートマスター/扇谷泰朋
ソロ・チェロ/菊地知也
プレコンサートが開かれ、「感謝のコンサート」と銘打ってコンサートマスターの千葉清加とチェロの菊地知也のデュオでヘンデル作曲ハルヴォルセン編曲パッサカリアが演奏されました。パッサカリアとはスペインやイタリアの古い舞曲で、緩やかな3拍子のもので、シャコンヌとともにバロックの音楽形式。お二人ともに超絶技巧を駆使しての素晴らしい演奏でした。
初めは、ショスタコ-ヴィチ(1906-75)の弦楽四重奏曲第8番をバルシャイ編曲で楽しみます。例の冒頭チェロの(レ・ミ♭・ド・シ DSCH)が最後まで繰り返し登場する。その間にユダヤ旋法とか過去の作品が引用されたりとにかく凄い曲です。注目のカーチュン・ウォン、悲痛にも見える表情で要所要所を抑えて力強く指揮をします。
大量の涙を流しながら苦しい気持ちで作曲したと言われるショスタコでしたが、
次は打って変わって美しいドレスを着たオーボエの杉原由希子のソロによるR.シュトラウス(1864-1949)のオーボエ協奏曲、美しいながらも何か憂いを含んだこの曲はシュトラウス81歳の高齢でしかも1945年の終戦でヨーロッパが崩壊し、一時ナチスに協力したかどで要注意人物として監視されていた頃、だから美しいのかな。
最後はベートーヴェンの「田園」カーチュン・ウォンの顔も晴れやかに伸び伸びと、所々では顔を向けるだけ、結構アクションは大きめ。2楽章終わりクラリネットのカッコウ、フルートはナイチンゲール、オーボエはウズラ、伊藤、真鍋、松岡の掛け合いグーでしたね。
コロナ禍の中にもかかわらず、盛りだくさんの曲を堪能することができました。