11月23日(月・祝)
JR新橋駅で降りて、日生劇場に向かう途中、
日比谷公園を抜けてゆくと、先回の名フィル・バックスの「11月の森」のような景色に出あった。
近くに松本楼があって、このレストランで、紅葉見物をしている人や、待っている人で一杯です。
さて、リヒャルト・シュトラウス 音楽のための対話劇『カプリッチョ』の最終日です。
とはいっても私にとっては、初めてなのでどうなりますか?
リヒャルト・シュトラウスは台本作家ホフマンスタールと「エレクトラ」や「ばらの騎士」と素晴らしいオペラをたくさん作りましたが、ホフマンスタール亡き後は、紆余曲折を経て、クレンメンス・クラウスと協力して自分で草稿を書きつつオペラを創ってゆくことになります。
『カプリッチョ』は、単なるオペラでなくシュトラウス自身の芸術上の〝マニフェスト〟としての機能をもち、〝遺言書〟であるともいわれている。
伯爵令嬢マドレーヌ/釜洞祐子
伯爵/成田博之
作曲家フラマン/児玉和弘
詩人オリヴィエ/友清崇
劇場支配人ラ・ロシュ/山下浩司
女優クレロン/谷口睦美
ムッシュ・トープ(プロンプター)/森田有生
イタリア人ソプラノ歌手/高橋知子
イタリア人テノール歌手/村上公太
執事長/小田川哲也
管弦楽/東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
指揮/沼尻竜典
演出・装置/ジョエル・ローウェルス
このごろすっかりオペラ指揮者として活躍している沼尻さんの指揮で、演出がジョエル・ロ-ウェルス、この演出家が曲者らしい。
リヒャルト・シュトラウスの、〝音楽が先か、言葉が先か〟〝作曲家か、詩人か〟など、音楽論がたくさん出てくるし、過去の作品の中からの引用も多く、全体にリヒャルト・シュトラウスらしい音のなかで、マドレーヌ役の釜洞さんや、劇場支配人のラ・ロシュ役の山下さんやクレロン役の谷口さんのスタイリッシュな姿や歌に聴き惚れていると、演出が大変なことになっていると隣の主人が言っている。ナチス党員もユダヤ人も年取ったマドレーヌもどうしてここで出てくるの?らしい。
きょうの観客席は、結構年輩の方が多く捻った演出にだれも疑問に思う人がいなかったみたいだし、
私もこれが本来の『カプリッチョ』だと思ってしまった。深読みしようと思えばいくらでも出来る今回の演出、 ついて来れる人だけついて来ればなんていう感じがして、プログラムでもう少し説明が欲しかったですね。
でも全般に歌や演奏がとっても素晴らしかったのです。
いろんな演出家と渡り合ってやっている沼尻さんも偉い!