10月20日(木)
東フィルは、2016年10月1日から今注目の指揮者、アンドレア・バッティストーニを首席指揮者に迎えて、今回マスカーニのオペラ『イリス』を演奏会形式で送る。
イリスとは、上の写真にある「あやめ」のことで、マスカーニの「イリス」は、プッチーニの「蝶々夫人」より前に同じ台本作家ルイージ・イッリカで、この作品を上演している。
マスカーニ/歌劇「イリス(あやめ)」(演奏会形式・字幕付き)
指揮・演出/アンドレア・バッティストーニ
イリス(ソプラノ)/ラケーレ・スターニシ Rachele Stanisci
チェーコ(バス)/妻屋秀和
大阪(テノール)/フランチェスコ・アニーレ Francesco Anile
京都(バリトン)/町英和
ディーア/芸者(ソプラノ)/鷲尾麻衣
行商人/くず拾い(テノール)/伊達英二
合唱/新国立劇場合唱団
コンサートマスター/三浦章宏
☆☆☆☆
『イリス(あやめ)』の物語
イリスは、庭にあやめの咲く家に、
盲目の父親チェーコと2人で暮らしています。
朝には太陽にあいさつし、花を愛で、
けなげに暮らすイリスのもとに、
ある日〝大阪〟と〝京都〟という二人の男が現れ、
男たちの策略でイリスは、〝ヨシワラ〟の遊郭へ
連れ去られてしまいます。
遊郭で我に返ったイリスは
男たちの邪念におびえ、嘆き悲しみます。
そこへ娘を追って現れた父チェーコは、非常にも
彼女を「汚れた娘」と責め、罵ります。
父の言葉に絶望したイリスは、悲しみのあまり
遊郭から身を投げるのでした。
イリスが堕ちた場所は月明かりの照らす谷底。
現世の幻が浮かんでは消えるなか、
横たわるイリスをやがて陽の光が照らし「太陽の賛歌」が響き始めます。
太陽の光と咲き誇るあやめに包まれ、
イリスは純粋な心のまま死んでゆくのでした。
演出は、バッティストーニ自身が行い、バックに葛飾北斎の浮世絵を投影してジャポニズムを、あとはイリスもディーア(芸者)もドレス姿です。
イリス役のラケーレ・スターニシ、ディーア役の鷲尾麻衣、チェーコ役の妻谷秀和、大阪役のフランチェスコ・アニーレ、京都役の町秀和ともに素晴らしい出来だったと思います。