12月12日(木)
結成25周年を迎えたクァルテット・エクセルシオと世界的指揮者や音楽家たちから信頼の厚い国際派オーボエ奏者の吉井瑞穂、輝かしい音色と柔軟な音楽性が秀でたハーピストの景山莉乃がプラス(競演)します。場所は銀杏が黄金に色づいた紀尾井坂を登った紀尾井ホールです。この辺りもクリスマスイルミネーションが綺麗です。
カプレ/エドガー・アラン・ポーの「赤死病の仮面」によるハープと弦楽四重奏のための「幻想的な物語」
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第10番変ホ長調作品74「ハープ」
~休憩~
モーツァルト/オーボエ五重奏曲ハ短調K406
ドビュッシー/神聖な舞曲と世俗的な舞曲
クヴィエシュ/オーボエ、ハープと弦楽四重奏のための六重奏曲「フルビーン変奏曲」(日本初演)
クァルテット・エクセルシオ
オーボエ/吉井瑞穂
ハープ/影山梨乃
アンドレ・カブレ(1878-1925)は、フランスの作曲家・指揮者でドビュッシーの友人、「月の光」や「子供の領分」などドビュッシーのピアノ曲を編曲した。1919年に作曲したこの曲はポーの恐怖小説「赤死病の仮面」を基にして作った曲です。国王がお城に立てこもって「赤死病」の疫病が入り込まないように饗宴にふけっているが、12時を過ぎると奇妙な仮面をつけた人物が現れて皆を「死」に追いやってしまうというおどろおどろしいポーの世界、中央に置かれた景山莉乃のハープが不気味な12時を知らせる低音を12回ならせると音は凍りつき緊張感に包まれる。
次はベートヴェンの「ハープ四重奏曲」は、ハープ繋がりでしょうか、カブレに続き素晴らしい緊張感溢れる演奏でした。
モーツァルトのオーボエ五重奏は、ファースト・ヴァイオリンの位置にマーラー室内管弦楽団で活躍している吉井瑞穂のオーボエが加わってオーボエの妙技に酔いしれます。
ドビュッシーの「神聖な舞曲と世俗的な舞曲」は、ハープがまたプラス(加わり)し、現在では使われなくなったクロマティックを使ったコンクール課題曲に用いられた曲。
旋律がゆったり流れる「神聖な舞曲」と軽妙で躍動的な「世俗的な舞曲」
オーボエとハープが加わり最後は、日本初演となるオトマール・クヴィエシュ(1950ー2018)の六重奏曲「フルビーン変奏曲」です。彼はチェコの作曲家でプラハ音楽院で作曲とオルガンを習い、ラヴェルの「クープランの墓」をオーボエとハープに編曲などした。1999年に作曲されたこの風変わりな曲は、2000年に亡くなった最初の妻ミルシュカ・ワグネロヴァの病気やそれに関する悩みなどがテーマになっているという。
四重奏とオーボエ、ハープという楽器の名手が揃った、なんという盛り沢山のちょっと変わった演奏会だったことでしょう。