12月に引き続きセバスティアン・ヴァイグレの指揮で新年の幕開けです。
若き才能と共演と題して、今回はヴァイオリンの成田達輝を迎えて、ハルトマンの「葬送協奏曲」の演奏が凄い!

リヒャルト・シュトラウス/交響詩「マクベス」
ハルトマン/葬送協奏曲
     ~休憩~
ヒンデミット/交響曲「画家マチス」
 指揮/セバスティアン・ヴァイグレ
 ヴァイオリン/成田達輝
 コンサートマスター/長原幸太

リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)の交響詩「マクベス」は、血が血を呼ぶシェイクスピアの悲劇で、魔女が出てきたり、バーナムの森が動いたりする「マクベス」からの標題音楽。
カール・アマデウス・ハルトマン(1905-63)は、ドイツのヒットラー政権を真っ向から反対し、反ナチスの姿勢を明確にする作品を多く出して政府から反感をかった。1939年に作った、独創ヴァイオリンと弦楽合奏のための「葬送協奏曲」もそんな作品の一つで、いつか日の目を見る時が来ると信じて作曲を続けこの時期の作品を山中の地下2メートルに埋めたと言っていた。
そして演奏は、ソフトな顔立ちの若い成田達輝が終始悲壮な顔をして宗次コレクションから貸与された1711年製のストラディヴァリウスをゴリゴリ言わせて弾くのにはびっくりしました。1992年生まれパリ国立高等音学院で学び、2010年のロン=ティボー国際コンクールで、2012年のエリザベート王妃国際コンクールでともに第2位に輝いたという実力の持ち主です。彼のパッションと技巧に注目しましょう!
コロナ禍で、外国から日本に来ることが困難な分、日本の若い音楽家が今大活躍しています。
非常にインパクトのあるハルトマンの演奏から

ヒンデミットの交響曲「画家マティス」は、上の画像セバスチャン・バイグレの下にあるキリスト磔の絵画、ドイツとの国境地帯に佇む運河の町、フランス・コルマールの市庁舎から200mの距離にあるウンターリンデン美術館の「イーゼンハイム祭壇画」作者はマティアス・グリューネヴァルト。
パウル・ヒンデミット(1895-1963)は、このグリューネルヴァルトと「イーゼンハイム祭壇画」とに触発されて交響曲「画家マティス」を書き上げた。その当時の社会情勢つまりナチスの文化政策への潜在的な順応がありということで、今回の作曲家シュトラウス、ハルトマン、ヒンデミットはナチス、ヒットラー政権に苦しめられた当時の作曲家ということかしら。その前身となったオペラ「画家マティス」は1935年に完成しましたがあまり演奏されることもないまま今日に至っている。

     (天使の合奏)   (埋葬)  (聖アントニウスの誘惑)

それにしても中身の濃い演奏会だったこと!
昨年12月から日本入りをしていた、セバスティアン・ヴァイグレは、今回も大活躍で、拍手の後は全員スタンディングオベイションで答えます。
そして2月二期会が公演する「タンホイザー」にもアクセル・コーバーの代役で指揮をするようです。

読響・第605回定期演奏会 セバスティアン・ヴァイグレ
Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

Wordpress Social Share Plugin powered by Ultimatelysocial