メディチ・テレビのオペラの中でバリー・コスキーが演出したオペラ「金鶏」があったので観てみました。
2021年5月21日、リヨンのオペラハウスでの演奏。原作はアレクサンドル・プーシキンのお伽話。
ロシアオペラの専門家バリー・コスキーがリムスキー・コルサコフの最後のオペラ「金鶏」をどう調理するのかと思っていたら、いつものカラフルな舞台とは打って変わったモノトーンの幻想的な舞台です。
オペラ・ド・リヨンの管弦楽団と合唱団、首席指揮者ダニエレ・ルスティオーニの指揮の下、豊かで官能的な音楽が奏でられます。

リムスキー=コルサコフ/歌劇「金鶏」(リヨン国立歌劇場 2021年公演)
ドドン王/ドミトリー・ウリャノフ Dmitry Ulyanov
グヴィドン王子/ヴァシーリイ・エフィモフ Vasily Efimov
アフロン王子/アンドレイ・ジリホフスキー Andrey Zhilikhovsky
ポルカン大臣/ミーシャ・シェロミアンスキー Mischa Schelomianski
女官長アメールファ/マルガリータ・ネクラソヴァ Margarita Nekrasova
星占い師/アンドレイ・ポポフ Andrey Popov
シェマハの女王/ニーナ・ミナシアン Nina Minasyan
金鶏の声/マリア・ナザロヴァ Maria Nazarova
金鶏/ウィルフリード・ゴノン Wilfried Gonon
合唱/リヨン歌劇場合唱団
リヨン歌劇場管弦楽団
指揮/ダニエーレ・ルスティオーニ Daniele Rustioni
演出/バリー・コスキー Barrie Kosky
舞台装置/ルーフス・リドウィスツス Rufus Didwiszus
衣裳/ヴィクトリア・ベール Victoria Behr
照明/フランク・エルヴィン Franck Evin
振付/オットー・ピヒラー Otto Pichler
ドラマトゥルグ/オルファ・A・シュミット Olaf A. Schmitt
 
収録時期:2021年5月18,20日
収録場所:フランス、リヨン国立歌劇場(ライヴ)
共同制作(新制作):リヨン国立歌劇場/エクサンプロヴァンス音楽祭/ベルリン・コーミッシェ・オーパー

かつてはその勇猛振りで周辺の国々から恐れられたドドン王も、いまやすっかり飽食と惰眠にふけり、王の家臣たちは隣国からの侵略の脅威に戦々恐々。そこに星占い師が登場し、有事に羽ばたいて警報を発するという金の鶏を献上すると、大いに喜んだ王は再びまどろみ始め・・・
このリヨン歌劇場の新制作『金鶏』は2人の鬼才、バリー・コスキー(演出)とルーフス・ディドヴィシュス(舞台美術)のコンビによる諷刺と諧謔味に溢れるユニークな舞台。オランダ国立オペラの残虐な「トスカ」も同じコンビによる演出と舞台装置でしたね。
あたかもドドン王の心象風景を視覚化したかのような荒涼とした草原を、奇怪な風体の人物たちが横行。ドミトリー・ウリヤノフは、偶然にもウクライナ人ですが、その恰幅の良さと美声のバスで浮世離れしたドドン王役を見事に演じ、王を籠絡するシェマハの女王役ニーナ・ミナシャンはロシア人で妖艶な演唱も見ものです。新鋭ダニエーレ・ルスティオーニのタクトが、音楽が進むにつれ万華鏡のようにその色合いを変える緻密で芳醇なリムスキー=コルサコフの音楽を鮮やかにまとめ上げています。
 
リムスキー・コルサコフ「金鶏」
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