新年の初生演奏会は、今年没後100周年を迎えるサン=サーンスのオペラ「サムソンとデリラ」です。私たちは1月5日と6日公演の5日の方を見てきました。
ウィーン国立歌劇場やMETで、アラーニャとガランチャの「サムソンとデリラ」を見てきましたが、二期会ではどんな公演になるのでしょうか? 今回はオーチャードホールでの演奏会形式となります。渋谷の街は久しぶり、大きなビルがニョキニョキと建っています。
デリラ/板波利加
サムソン/樋口達哉
ダゴンの大司祭/門間信樹
アビメレク/後藤春馬
老ヘブライ人/狩野賢一
ペリシテ人の使者/加茂下稔
第1のペリシテ人/澤原行正
第2のペリシテ人/水島正樹
合唱/二期会合唱団
管弦楽/東京フィルハーモニー交響楽団
指揮/マキシム・パスカル
新制作・セミ・ステージ形式上演
フランス語(日本語字幕付き)上演
カミーユ=サンサーンス(1835-1921)は、作曲家でありピアノとオルガンの名手、詩集を出版し劇作家として成功、しかも哲学者にして考古学者、美術史家とまさにマルチプレイヤーでしかも旅行好きとして知られ「サムソンとデリラ」の中の「バッカナール」には、ペリシテ人の盛大な踊りが、エキゾティックで異国情緒溢れたものとして盛り上げます。
これは旧約聖書の「士師記」の中に書かれているお話で、ユダヤ人は紀元前13世紀ごろエジプトから逃げてきてパレスチナと呼ばれる地で生活を始めた。それから紀元前1000年ごろ王国を作った、そのころダビデ、ソロモンなどが登場する。それから国が南北に分かれ、北王国も南王国も紀元前6世紀には、バビロニアによって滅ぼされた。紀元前6世紀後半にはペルシャ、紀元前4世紀にはシリア、紀元前1世紀にはローマに支配されつづけてゆく。そして紀元1世紀にはキリストが現れる。
そんな中での「サムソンとデリラ」ヘブライ人のサムソンは怪力を持った男、そしてペリシテ人のデリラは魅力でサムソンを誘惑しサムソンの怪力の秘密を聞き出そうとする。デリラは1幕の終わりで“Printemps qui commennce”を歌う。
2幕の有名なデリラのアリア“Mon coeur s’ouvre a ta voix”(あなたの声に私の心は開かれてゆく)で、サムソンは完全にデリラに惹かれてゆく。
そして3幕は、サムソンの力の秘密が髪の毛にあるとわかったため、髪の毛を切られ、眼を抉り出されてしまいます。そして、「バッカナール」になります。演奏会形式ですので、今回準・メルクルが来れなくなったためピンチヒッターとなった指揮者のマキシム・パスカル、もちろん若きフランス人ですが、舞台中央で長い手足をフル回転し大いに沸かせます。「サムソンとデリラ」の後には同じく二期会の「ルル」を指揮する予定だそうです、注目しましょう。合唱は舞台後方の紗幕の中に2列に並び、
最後、神殿が崩れ落ちるシーンは、紗幕に映像で映し出されます。
サン=サーンスってすごい作曲家だなってつくづく思いながら家路につきます、ずいぶん変わった渋谷の街を見ながら!