神奈川フィル・広上「第九」

12月21日(金)

今年最後の演奏会は、広上淳一指揮 「第九」です。
神奈川県民ホール辺りはクリスマス一色。

ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」
管弦楽/神奈川フィルハーモニー管弦楽団
指揮/広上淳一
ソプラノ/高橋絵里
メゾソプラノ/平山莉奈
テノール/宮里直樹
バリトン/浅井隆仁
合唱/神奈川フィル合唱団(音楽監督/大久保光哉)
コンサートマスター/石田泰尚
コンサートマスター/﨑谷直人

神奈川フィルの指揮者・川瀬賢太郎の先生に当たる広上淳一の指揮です。先週日フィル・井上道義の型破りな「第九」を聴いたばかりですが、違う意味で力みのないオーソドックスな「第九」を聴くことができました。
ソロ歌手は、吉田浩之が健康上の理由で宮里直樹に変更となり、全体に体のしっかりした若手が活躍したようです。そして合唱は老若男女の混じった、神奈川フィル合唱団ですが、これも良かった。
何よりも広上マジックともいうべき盛り上げ方でしょうか。こちらも一緒に歌ってしまいそうになるくらい力が入ってしまいます。
終わってホワイエに出てみると広上の高校の先生も来ていて、満足そう!
私たちは、ホテル・ニュー・グランドを経て元町の方に歩いてから帰りました。

漆原朝子&ベリー・スナイダー デュオ・リサイタル

12月18日(火)

第378回鵠沼サロンコンサートは漆原朝子とベリー・スナイダーのデュオ・リサイタルで、シューマンのピアノソナタ全曲演奏会です。

シューマン/ヴァイオリン・ソナタ第1番イ短調作品105
シューマン/ヴァイオリン・ソナタ第3番イ短調
~休憩~
シューマン/3つのロマンス作品94
シューマン/ヴァイオリン・ソナタ第2番ニ短調作品121
ヴァイオリン/漆原朝子
ピアノ/ベリー・スナイダー

ロベルト・シューマン(1810−1856)のヴァイオリン・ソナタ第1番と第2番の間に第3番です。シューマンのヴァイオリン・ソナタは、第1番と第2番と思っていましたが、1956年に第3番が発見されました。今回は、第2楽章のスケルツォと第3楽章のインテルメッツオを入れ替えて演奏しました。休憩後にプロデューサーの平井さんの説明があり、最近出版された新しいバージョンでは、第2楽章と第3楽章が入れ替わっているということで、新しい形で演奏してみたとのことです。この第3番は、シューマンがライン川へ気を投げる前年の1853年に書かれながら長く存在が知られずにいた作品で、弾きやすい曲ではないのですが、クララが世間の目から隠したという説もあるというくらい、シューマンの悲劇的な晩年の表情を伝える作品とのことです。休憩後はシューマンの「3つのロマンス」が演奏され、最後は壮大なスケールのソナタ第2番です。クララ・シューマンも「3つのロマンス」を書いており、アンコールで聴かせてくれます。

漆原朝子さんといえば、お姉さんでヴァイオリニストの漆原啓子さんと姉妹で、あまり一緒に公演ということはないようですが、現実の生活はヴェールに包まれているようです。

アンコールは歌曲集「リーダークライス」作品39から第1曲「見知らぬ土地で」と第12曲「春の夜」とそしてクララ・シューマンの「3つのロマンス」から第1曲でした。

この鵠沼サロンでは、こんな珍しいプログラムが2度目だそうで驚いてしまいます。2010年の10月にも。今日来ている聴衆はすでにこの曲を聴いているんですね! 本当に通の演奏会です、恐れ入ります。

日本フィル・井上道義「第九交響曲」

12月15日(土)

桜木町駅から、クリスマスイルミネーションを抜けてみなとみらいホールに着くと、日本フィルのベートーヴェン「交響曲第九」の演奏会場で、今日の指揮は井上道義さんです。

ベートーヴェン/序曲「コリオラン」作品62
     ~休憩~
ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125「合唱」
 指揮/井上道義
 ソプラノ/菅英三子
 アルト/福原寿美枝
 テノール/錦織健
 バリトン/青山貴
 合唱/東京音楽大学
 コンサートマスター/木野雅之
 ソロ・チェロ/辻本

斎藤弘美氏のプレトークがあり、今年は「第九」が、日本初演されて100年目に当たる年だということです。
ベートーヴェン(1770−1827)のコリオランの後に休憩が入り、休憩後に井上マエストロが加わり、プレトークがここでも入ります。今度は客席が満席に近い状態で井上マエストロもご満悦。お話では2012年12月15日にもマエストロは日フィルで「第九」を演奏したとのこと、ちょうど6年前ですね。6年前と同じソロ歌手のテノール錦織さんとバリトン青山さん、合唱が同じく成長著しい東京音大です。今回はトルコ行進曲の直前にピッコロと打楽器が3人入場して下手で鼓笛隊として活躍しました。今日は黄昏の「第九」は演奏しませんと宣言し素晴らしい「第九」演奏を聞かせてくれました。

高倉町珈琲大井町店

12月13日(木)

大井町に高倉町珈琲ができたと聞き行ってきました。

パンケーキが有名で、生地にリコッタチーズが入っていてふわふわした食感です。
マロンクリームパンケーキはこの秋限定で、ふわふわのパンケーキに和栗の入ったクリームがとろとろ、ちょっとカロリーオーバーかな?
ちょうどお昼に行ったので、満席でした。

日本フィル・沼尻 マーラー1番「巨人」

12月7日(金)

日本フィル第706回東京定期演奏会は、沼尻竜典指揮でベルク「ヴォツェック 3つの断章」とマーラー1番「巨人」で、ホール内は世紀末のウィーンの香りがむんむんと漂い、そしてカラヤン広場はクリスマス一色です。

 

 

 

 

ベルク/歌劇「ヴォツェック」より3つの断章
     ~休憩~
マーラー/交響曲第1番ニ長調「巨人」
 指揮/沼尻竜典
 ソプラノ・エディット・ハラー
 コンサートマスター/白井圭(ゲスト)
 ソロ・チェロ/菊地知也

 

ウィーン生まれの作曲家アルバン・ベルク(1885−1935)は、生涯に2つのオペラ「ヴォツェック」と「ルル」を残しましたが、20世紀に作曲されたオペラの中でも、もっとも上演頻度に恵まれた作品。
今日は「ヴォツェック」より3つの断章、オペラの中からマリーが登場する3つの場面を抜き出して演奏会用に作ったもので、オペラを作ったものの、劇場からの委嘱がないため、オペラ全曲上演への足がかりにしようとした作品。マリー役のエディット・ハラーが不倫の末殺害される内縁の妻役で、妖艶なそして存在感のある声を披露する。ハラーは休憩時には観客席に現れ後半のマーラーを鑑賞しますが、本当は若くて清純派?「アルプスの少女ハイジ」のような出で立ちでした。

後半は、グスタフ・マーラー(1869−1911)の1番「巨人」は、ウィーンフィルに在籍していたコンマスの白井圭さんのウィーンの音色が手伝って心地よい。テンポが早かったらしく、終わったのは8時後半でした。
サントリーホールは、今年は今日でおしまい!

 

ゲルハルト・オピッツ ピアノ演奏会

12月1日(土)

もう師走ですね。
メインの音楽会は終り、あとは恒例の「第九」などを残すのみ、
今日は浦安音楽ホールにベートーヴェンのピアノを聴きに行く事になりました。

 

 

ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第8番ハ短調作品13「悲愴」
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調作品272-2「月光」
     ~休憩~
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第17番ニ短調作品31-2「テンペスト」
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第23番へ短調作品57「熱情」
 ピアノ/ゲルハルト・オピッツ

 

 

ゲルハルト・オピッツ(1953-)は、ドイツ・ピアノ界の正統派を代表する演奏家で、流れはオピッツ自身の師であるヴィルヘルム・ケンプにつながり、その源流はリストやベートーヴェンに直接つながる。

ベートーヴェンの有名なソナタ「悲愴」「月光」「テンペスト」「情熱」を4曲
木の響きのみが聞こえる電子音のない世界で、静かな森の大木に寄り添ってピアノを聴いている気分。自然に溶け込んでリラックス出来るそんな時間でした。
アンコールはシューマンのトロイメライ
サイン会には長蛇の列ができていました。
前半ノイズが入り、ひやっとするも補聴器から生じた電子音だったようで、後半は全く自然の中の調べでした。できればいつまでも聴いていたい!

読響・パユとラングラメのモーツアルト協奏曲

11月28日(水)

読響第583回 定期演奏会は、デニス・ラッセル・デイヴィス指揮で、フルートのエマニュエル・パユとハープのマリー=ピエール・ラングラメのモーツアルトの協奏曲があります、あと2曲は背筋も凍る殺人事件。そしてサントリーホールはクリスマスの装いです。

 

スクロヴァチェフスキ/ミュージック・アット・ナイト
モーツァルト/フルートとハープのための協奏曲ハ長調K299
~休憩~
ジョン・アダムス/シティ・ノワール
指揮/デニス・ラッセル・デイヴィス
フルート/エマニュエル・パユ
ハープ/マリー=ピエール・ラングラメ
コンサートマスター/長原幸太

 

スクロヴァチェフスキ(1923−2017)は、2007年に読響の常任指揮者に就任し、「ミスターS」の愛称で親しまれましたが、昨年2月93歳で、死去しました。
「ミスターS」は、1923年ポーランドのリヴォフに生まれ、最初はピアニストとして、手を負傷してから作曲と指揮を学んだ。シマノフスキ記念作曲コンクールで2位に入賞すると奨学金で、パリに留学したが、作曲から軸足を指揮へと移し、やがて指揮者としての活動が安定すると、再び創作に向かうようになる。

〈ミュージック・アット・ナイト〉は、パリ留学中に作曲された。イタリア旅行中にフェッラーラ駅で途中下車しフェッラーラの古城に立ち寄り「ウーゴとパリジーナの悲劇」に思いを巡らせた。パリに帰ってモンテカルロのバレエ団のために〈ウーゴとパリジーナ〉を書き、それを元に〈ミュージック・アット・ナイト〉は作られた。ウーゴとパリジーナというのは、義理の息子ウーゴと不倫の関係になったパリジーナが、夫のニッコロ侯爵に斬首されるという実話で、作品中悲劇的な音が蠢き果ては弦が力強く主張し、打楽器が快活なリズムを強調するとやがて静かに落ち着き、悲劇の終りを告げる。

モーツァルトのフルートとハープのための協奏曲は、ベルリンフィルのハープ奏者ラングラメとフルートのパユが以前もどこかで演奏を聴いたことがあるような気がしますが、スクロヴァチェフルキとジョン・アダムスの悲劇的な曲の間に挟まって、二人とも爽やかでとても印象的。貴公子風だったパユですが歳はとってももまだまだ魅力的だし、演奏も若々しい。アンコールはイベールの間奏曲で、オリジナルはフルートとギターのための間奏曲。

ジョン・アダムス(1947-)といえば「中国のニクソン」や「ドクター・アトミック」などセンセーショナルな話題を提供してきた。ハーバード大学出身の作曲家。
「シティ・ノワール」は、2009年に書かれ、ブラック・ダリアというロスアンゼルスで起きた猟奇殺人事件を取り上げている。「フィルム・ノワール(犯罪映画)」の題材になるような事件が起きた街のエネルギーや、時代の空気感を音楽に移し出したかったと言っている。
第1楽章  都市とその分身 第2楽章 この歌はあなたのために 第3楽章 ブールバード・ナイト ジャズ的な要素が音楽全体に散りばめられており、ここでもアルトサックスが街の官能的な雰囲気を出している。

 

 

ラザレフ・小林美樹

11月24日(土)

日本フィル第342回横浜定期演奏会は、アレクサンドル・ラザレフ指揮、ヴァイオリンは小林美樹さんです。

 

チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35
~休憩~
プロコフィエフ/バレエ音楽「ロメオとジュリエット」(ラザレフ版)
指揮/アレクサンドル・ラザレフ
ヴァイオリン/小林美樹
コンサートマスター/木野雅之
ソロ・チェロ/菊地知也

 

 

以前、鵠沼サロンコンサートというところで、小林美樹さんとお姉さまでピアノの小林有紗さんとのリサイタル があり〝な〜んと、チャーミングな姉妹〟とファンになってしまって以来注目しています。
今日は日本フィルの「緻密なる猛将ラザレフ」との共演ですが美樹さんもツイッターで〝コンチェルトでこんなに細かくリハーサルして頂いたの初めてでとっても楽しかった〟と語っていました。
ピョートル・チャイコフスキー(1840−1893)のヴァイオリン協奏曲は、ロシアの名ヴァイオリニストのアウアーに献呈されたのですが、「演奏不可能」というレッテルを貼られてしまいます。3年ほど経ってアドルフ・ブロッキーの地道な演奏によりこんなにも有名な曲になってしまいました。
小林美樹さん、のびのびとしかも超絶技巧を得意とする美樹さんですから「演奏不可能」と言われるほどのこの曲もしっかりとオーケストラとの息もぴったりです。
ルックスも演奏も上り坂ですね! 友達はブルーのドレスがあまりにも素敵なのでドレスに圧倒されて、始め曲を聴くのを忘れていたそうです。
アンコールはバッハの無伴奏パルティータ第3番から最後のジーグ。

1918年、日本のこの横浜にやってきて100年というセルゲイ・プロコフィエフ(1891−1953)の「ロメオとジュリエット」、ラザレフが大好きな作曲家でラザレフ版ですね。
日本を経由してアメリカへ亡命して、帰国してから最初の仕事としてレニングラードのキーエフ劇場から依頼されて作った「ロメオとジュリエット」は、1936年に交響的組曲として、1940年バレエの初演を果たし世界的に有名になった。
初めの「モンタギュー家とキャピュレット家」威嚇するような不協和音と「騎士達の踊り」から「ジュリエットの踊り」は特に有名。テナーサックスが入って混沌とした不透明感が現代的ですね。本当に面白い!
アンコールは、プロコフィエフの古典交響曲から第3楽章のガヴォットです。

東フィル・バッティストーニ「メフィストーフェレ」

11月16日(金)

東京フィル第912回サントリー定期演奏会にアンドレア・バッティストーニの「メフィストーフェレ」です。札幌の「アイーダ」こけら落とし公演に続いてバッティストーニ詣で。

ボーイト/歌劇「メフィストーフェレ」(演奏会形式上演)
指揮/アンドレア・バッティストーニ
メフィストーフェレ/マルコ・スポッティ Marco Spotti (バス)
ファウスト/アントネッロ・パロンビ Antonello Palombi (テノール)
マルゲリータ&エレーナ/マリア・テレーザ・レーヴァ Maria Teresa Leva (ソプラノ)
マルタ&パンターリス/清水華澄(メゾ・ソプラノ)
ヴァグネル&ネレーオ/与儀巧(テノール)
合唱/新国立劇場合唱団(指揮/冨平恭平)
児童合唱/世田谷ジュニア合唱団(指揮/掛江みどり)
助演/古賀豊
コンサートマスター/依田真宣

 

今年はアッリーゴ・ボーイト(1842−1918)没後100年に当たる。ボーイトは、ヴェルディの傑作オペラ「オテロ」「ファルスタッフ」などの台本作家として知られている。
26歳の詩人にして作曲家のボーイトが文豪・ゲーテの戯曲「ファウスト」を元に書いたオペラ「メフィストーフェレ」は、ファウストを主人公にしたものでなく悪魔メフィストーフェレを主人公にしている。ー悪魔との契約、欲しいのは若さー 悪魔メフィストーフェレと契約して若さを手に入れたファウストは、行きずりの乙女マルガリータに恋するが、やがて彼女やその家族まで破滅へと導く。

プロローグ 天上の世界
第1幕第1場 復活祭の日曜日
第1幕第2番 契約
第2幕第1番 庭
第2幕第2場 魔女の夜会
第3幕 マルゲリータの死
第4幕 古代の魔女の夜会
エピローグ ファウストの死

バッティストーニは東フィルと2016年にはマスカーニの「イリス」を、2017年にはヴェルディの「オテロ」を演奏会形式で行いましたが、今回2018年はボーイトの「メフィストーフェレ」となり3年連続。
やはり今回もマルコ・スポッティ(メフィストーフェレ)、アントネッロ・パロンビ(ファウスト)、マリア・テレーザ・レーヴァ(マルゲリータ&エレーナ)の外国勢は、体格の良さか声の響が素晴らしく、歌唱力もあり敵わないなと思えるほどです。
若きバッティストーニの精力的な指揮についてゆくばかり、東フィルの演奏もびっくりするくらいパワーがあります。