ドヴォルザーク「ルサルカ」

オランダ 国立歌劇場がドヴォルザークの「ルサルカ」をストリーミング放映しています。「人魚姫」にインスピレーションを受けて作られたおとぎ話ですが、今回は全く違った演出でとんでもなく面白い! 
演奏はロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、指揮者は女性のジョアナ・マルヴィッツ(ドイツのヒルデスハイム生まれの35歳、ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の次期首席指揮者)ソプラノ歌手ヨハニ・ファン・オーストラムがルサルカ役を歌います。チェコのテノール歌手パーヴェル・チェルノッホが王子の役を歌い、アメリカのメゾソプラノ歌手レイハン・ブライス・デイヴィスが魔女ジェジババ役でデビューする。
演出家のフィリップ・シュテルツルはルサルカを、夢を追いかける女性、華やかな1950年代のハリウッドの夢の世界で成功することを望み、そのために必要な犠牲を払う女性として描いている。見ているうちに、本来の「ルサルカ」は、どうだったのか忘れてしまいそう。正統派「ルサルカ」と合わせて見るのもいいかもね!
2023年7月7日にストリーミング配信し、2023年11月7日まで利用可能です。

 

ドヴォルザーク/歌劇「ルサルカ」(オランダ国立歌劇場 2023年公演)
ルサルカ/ヨハンニ・ヴァン・オーストラム Johanni van Oostrum
王子/パーヴェル・チェルノク Pavel Cernoch
外国の王女/アンネッテ・ダッシュ Annette Dasch
水の精ワッサーマン/マクシム・クズミン=カラヴァエフ Maxim Kuzmin-Karavaev
魔女ジェジババ/レーハン・ブライス=デーヴィス Raehann Bryce-Davis
猟場番人/エリック・スリク Erik Slik
料理人/カリン・ストロボス Karin Strobos
狩人/ゲオルギー・デルバス=リヒター Georgiy Derbas-Richter
木の精霊/インナ・デメンコヴァ Inna Demenkova、エレノラ・フー Elenora Hu、マヤ・グール Maya Gour
合唱/オランダ国立歌劇場合唱団
管弦楽/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
指揮/ヨアナ・マルウィッツ Joana Mallwitz
演出/フィリップ・シュテルツル Philipp Stolzl、フィリップ・М・クレン Philipp M. Krenn
舞台装置/ヘイケ・フォルマ― Heike Vollmer、フィリップ・シュテルツル Philipp Stolzl
衣裳/アンケ・ウィンクラー Anke Winckler
照明/フィリップ・シュテルツル Philipp Stolzl
振付/ジュアニョ・アルケス Juanjo Arques
ドラマトゥルグ/サイモン・ベルガー Simon Berger
 



ヴェルディ「ナブッコ」

ヴェローナの闘牛場で行われたオペラ「ナブッコ」も4Kで見ることができます。
野外オペラなので壮大な歴史劇を見るような素晴らしさです。
有名な「行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って」の合唱は、バックステージに作られた劇場の観客席から合唱団が歌い始める面白い演出です。(2022年12月24日)

ヴェルディ「ナブッコ」

ジュネーブ大劇場がヴェルディの「ナブッコ」をストリーム放映してくれています。
旧約聖書の物語、「ナブッコ」は、1842年の初演以来大成功を納め、有名なヘブライ奴隷の合唱は今でも政治的な共鳴を呼んでいます。
2022年のヴェネツィア・ビエンナーレで生涯功労金獅子賞を受賞したブラジル人の監督、映画監督、作家のクリスティアヌ・ジャタヒは、今回も暴君や過激派イデオロギーに立ち向かう人々の言葉を紹介することで、ヴェルディの聖書の比喩に新たな命を吹き込んだ。
ナブッコ役がニコラ・アライモ、指揮はアントニーノ・フォリアーニ、演出はクリスティアヌ・ジャタヒ
(2023年6月30日〜2023年12月30日)までストリーミング配信されます。

 
ヴェルディ/歌劇「ナブッコ」(ジュネーヴ大劇場公演)
ナブッコ/ニコラ・アライモ Nicola Alaimo
アビガイッレ/サイオア・エルナンデス Saioa Hernandez
ザッカ―リア/リッカルド・ザネラート Riccardo Zanellato
イズマエーレ/ダヴィッド・ジュスティ Davide Giusti
フェネーナ/エナ・ポングラク Ena Pongrac
アンナ/ジウラ・ボルカート Giulia Bolcato
アブダッロ/オマール・マンシーニ Omar mancini
ベルの司祭長/ウイリアム・マイネルト William Meinert
合唱/ジュネーヴ大劇場合唱団
スイス・ロマンド管弦楽団
指揮/アントニーノ・フォリアーニ Antonino Fogliani 
演出/クリスチアーヌ・ジャタヒ― Christiane Jatahy
舞台装置/トーマス・ウォルグレイヴ Thomas Walgrave、マルチェロ・リピア―二 Marcelo Lipiani
衣裳/アン・ドゥイス An D’Huys
照明/トーマス・ウォルグレイヴ Thomas Walgrave
映像/バットマン・ザヴァレーゼ Batman Zavarese
ドラマトゥルグ/クララ・ポンス Clara Pons
 
 

ロイヤル アスコット2023にキャサリン妃登場

6月20日から5日間にわたって開催しているロイヤルアスコット2023に、4日目待望のキャサリン妃が登場しました。
競馬の方は、Duke of Edinburgh Stakes デューク・オブ・エディンバラ・ステークスで Okita Soushi オキタソウシが勝ったそうです。(ちなみに馬主は日本人の松本俊廣さん)

ロイヤル アスコット2023開催

イギイスで毎年恒例のイベントとなっている「ロイヤルアスコット2023」が今年も開催され、イギリスのロイヤルが勢揃いしました。
毎年6月第3週の火曜日から土曜日まで、6月20日(火)〜24日(土)5日間男性は「ウエストコート(ベスト)とモーニングスーツ、黒またはグレーのトップハットを着用すること」、女性は「帽子を被り。肩を覆ったドレスを着用すること」という厳格なドレスコードで知られています。
そして実際の競馬の方は波乱の幕開けだそうです。

 

グレトリー「美女と野獣」「ゼミラ・エ・アゾール」

魔法のおとぎ話「美女と野獣」がベルギーの作曲家アンドレ=エルネスト=モデスト・グレトリ(1741−1813)によってオペラコミック「ゼミラ・エ・アゾール」になり、1771年にフォンテーヌブローで、アリア、バレエ、レチタティーボを交えて初演され、すぐに世界中の聴衆を魅了しました。
今回、マンハイム国立劇場の「ゼミラ・エ・アゾール」は、歴史あるシュヴェツィンゲン城劇場で上演され、指揮はベルンハルト・フォルク、演出はナイジェル・ロウリーです。

 

 
アンドレ・グレトリー Andre Gretry (1741-1813)/歌劇「ゼルミーラとアゾール」(シュヴェツィンゲン、シュロス劇場 マンハイム国立歌劇場2023年5月28日公演)
 
ゼルミーラ(3女、美女)/アメリア・シコローネ Amelia Scicolone
アゾール(野獣、実はペルシャの王子)/パトリック・カボンゴ Patrick Kabongo
アリ(サンドロの奴隷)/ラファエル・ウイットマー Raphael Wittmer
サンドロ(ペルシャの商人、3人の娘の父親)/トーマス・ベロー Thomas Berau
ファティマ(長女)/セギーン・コー Seugheen Kho
レスビア(次女)/マリア・ポランスカ Maria Polanska
管弦楽/ベルリン古楽アカデミー Akademie fur Alte Musik Berlin
指揮/ベルンハルト・フォルク Bernhard Forck
演出・舞台装置・衣裳/ナイジェル・ロウリー Nigel Lowery
照明/ローター・バウムガルテ Lothar Baumgarte
ドラマトゥルグ/クサヴィエ・ズーバー Xavier Zuber
 
 

ウィーン国立歌劇場「ムツェンスクのマクベス夫人」

ウィーン国立歌劇場は、ショスタコーヴィチの「ムツェンスクのマクベス夫人」をライブストリーミングしました。題名の「マクベス夫人」というのはシェイクスピアの「マクベス」に登場するマクベスの妻が悪女の典型ということで付けられている。
ウィーンで2023年6月12日公演のオペラで、6月13日から3日間無料で観ることができますのでサインインをしてご覧ください。

ウィーン国立歌劇場公演「ムツェンスクのマクベス夫人」
 
ショスタコーヴィチ/歌劇「ムツェンスクのマクベス夫人」(2023年6月12日公演)
ボリス・イズマイロフ/ギュンター・グロイスベック Gunther Groissbock
ジノヴィー・イズマイロフ/アンドレイ・ポポフ Andrei Popov
カテリーナ・イズマイロヴァ/エレーナ・ミハイレンコ Elena Mikhailenko
セルゲイ/ディミトリー・ゴローヴニン Dmitry Golovnin
ソネートカ/マリア・バラコヴァ Maria Barakova
アクシーニャ/エフゲニヤ・ソトニコヴァ Evgeniya Sotnikova
襤褸を着た農夫/トーマス・エベンシュタイン Thomas Ebenstein
家令・警察官/ハンス・ペーター・カンマラー Hans Peter Kammerer
番頭・哨兵/マーカス・ペルツ Marcus Pelz
第1の労働者/トーマス・ケーバー Thomas Kober
第2の労働者/オレグ・ザリツキー Oleg Zalytskiy
第3の労働者/ヴェリ=ペッカ・ヴァ―プラ Veli-Pekka Varpula
製粉工/ヨハンネス・ギッサー Johannes Gisser
御者/トーマス・ケーバー Thomas Kober
司祭/エフゲニー・ソロドヴニコフ Evgeny Solodovnikov
警察署長/アッティラ・モクス Attila Mokus
教師/カルロス・オスナ Carlos Osuna
酔っ払い/フランツ・グルーバー Franz Gruber
軍曹/リヴィウ・ブルズ Liviu Burz
老いた流刑者/ダン・パウル・ドミトレスク Dan Paul Dumitrescu
女流刑者/ジェンニ・ヒエターラ Jenni Hietala
指揮/アレクサンダー・ソディ― Alexander Soddy
演出/マティアス・ハルトマン Matthias Hartmann
舞台装置/フォルカー・ヒンターマイアー Volker Hintermeier
衣裳/スー・ビューラー Su Buhler
振付/テレサ・ローテンベルグ Teresa Rotemberg
 
第2幕と第3幕の間に休憩
 

ショスタコーヴィチが1930年から1932年にかけて(20代の半ばに)作られた力作です。
平凡な夫ジノヴィーに愛想をつかしている主人公カテリーナが、肉欲的なセルゲイとベッドにいるところを義理の父ボリスが見つけてしまいます。自分がカテリーナと寝る機会がなかったことに腹を立てたボリスは、セルゲイを鞭で打ちますが、ボリスはカテリーナが毒を混ぜたマッシュルームを食べて死んでしまいます。帰ってきた夫ジノヴィーも殺してしまいますが、セルゲイとカテリーナの結婚式の最中にジノヴィーの死体が見つかって二人ともシベリア送りとなってしまう。
流刑中セルゲイは美しいソネートカと関係を持つようになりカテリーナは次の殺人を考えるという残忍なストーリーなんですが、人生の愚かさと不正を大いに笑い飛ばしているショスタコーヴィチの強烈な音楽は凄いものがあります。
今回は四幕はじめにショスタコーヴィチの「弦楽四重奏曲第8番」1楽章が静かに演奏され、強いティンパニーから通常の「マクベス夫人」になっている、指揮者のアレクサンダー・ソディか演出のマティアス・ハルトマンのなせる技でしょうか。