ウィーン国立歌劇場「ファウスト」(無観客)

ウィーン国立歌劇場は、現地時間で4月29日に新演出でグノーの「ファウスト」を無観客で上演し、日本でも無料でストリーミングされました。そしてウィーンでは5月19日から観客を入れて公演をすることが決まったようです。本当によかったですね! 去年の春以来100近くのオペラをアーカイブとして無料で放映してくれたおかげで、僅かながらでもオペラを楽しむことができ、演目のレパートリーや好きな歌手も増えて楽しくなったところです。もう一度見てみたいオペラがたくさんありますが、また観る機会があるでしょう。
グノーの「ファウスト」はフランス語の5幕のグランドオペラですが、バレエの部分は省いてあり、時代は1960年代に置き換えてあります。ファウスト役は乗りに乗っているフローレス、マルグリートはオーストラリア出身の若きニコール・カー、メフィストフェレスはポーランドのアダム・パルカ、悪魔の衣装が似合います。

ファウスト/フアン・ディエゴ・フローレス Juan Diego Florez
マルグリート/ニコール・カー Nicole Car
メフィストフェレス/アダム・パルカ Adam Palka
ヴァランタン/エティエンヌ・デュピュイ Etienna Dupuis
ワグナー/マーティン・へスラー Martin Hassler
ジーベル/ケイト・リンジー Kate Lindsey
マルト/モニカ・ボヒネク Monika Bohinec
指揮/ベルトラン・ド・ビリー Bertran de Billy
演出/フランク・カストルフ Frank Castorf
舞台装置/アレクサンダー・デニック Alexandar Denic
衣裳/アドリアーナ・ブラーガ・ペレツキ Adriana Braga Peretzki
照明/ローター・バウムガルテ Lothar Baumgarte

ゲーテの「ファウスト」から題材を取っているのは皆さんご存知の通り。
悪魔メフィストフェレスに魂を売って永遠の若さを手に入れた老博士ファウスト。彼は清純な乙女マルグリートと恋に落ちるが彼女を捨て、彼の子を宿したマルグリートは生まれたばかりのわが子を殺し、牢に繋がれ錯乱。彼女の魂は神のもとに召されていく…。
原作の舞台は16世紀ドイツですが、今回のフランク・カストルフの演出では1960年代のパリに設定。
「CAFE OR NOIR 」が中心となり、2人のカメラマンが出てきて細部を写した動画を舞台上に映し出しながら、話は進められる。最近のYoutubeばやりがここにも!
マルグリートが歌う有名な「宝石の歌」こどもを宿しお買い物袋を持って歌う「紡ぎ車の歌」など若いニコール・カーが体当たりで役に挑んでいることがよく分かります。
メフィストフェレス役のアダム・パルカ、下半身毛むくじゃらの悪魔のスタイルは、ちょっとエロチックで面白い。
マルグリートの元カレとしてメゾ・ソプラノのケイト・リンジーが出ています。
もちろん、フローレスのファウストは歌も演技も完璧!



カニクリームコロッケ

巣ごもり生活がまたやってきました。
午前中は、、ローマ聖チェチーリア音楽院のガラコンサートのライブストリーミングをパッパーノの指揮で、
ベッリーニ、ドニゼッティのオペラのアリアをたくさん聞くことができました。
そして夕食は、カニの身が手に入ったのでカニクリームコロッケと春キャベツ、新玉ねぎ、ベーコンの入ったスープそれにむつの甘辛煮です。

日本フィル第729回東京定期演奏会

4月23日緊急事態宣言前、最後の演奏会に行ってきました。
サントリーホール前で平井理事長が“4月25日〜5月11日までは劇場は無観客となります。しばらく生演奏は聴けなくなります”との声に思わず今日来てよかったと喜び合いました。
東京都第3次の緊急事態宣言の期間は4月25日〜5月11日まで、日本フィルの定期演奏会は23日、24日ですからまさに最後の演奏会となるわけですね。2週間の国内待機期間を終えた桂冠指揮者兼芸術顧問のアレクサンドロ・ラザレフの指揮でロシアの魂Season 4グラズノフとストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」です。

《ラザレフが刻むロシアの魂SeasonⅣグラズノフ》
グラズノフ/交響曲第7番ヘ長調作品77「田園」
     ~休憩~
ストラヴィンスキー/バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)
 指揮/アレクサンドル・ラザレフ
 ピアノ/野田清隆
 コンサートマスター/扇谷泰朋
 ソロ・チェロ/菊地知也

グラズノフ(1865-1936)とストラヴィンスキー(1882-1971)は、ともにリムスキー・コルサコフの弟子ではありますが、17歳の歳の差だけではなくロシア音楽界のアカデミズムの頂点に君臨して、保守派の代表格であるグラズノフとベルエポックのパリで新たな音楽運動の寵児となったストラヴィンスキーの響きの違いを楽しみましょう。

1902年に完成されたグラズノフの交響曲7番は、サンクトペテルブルグ音楽院で教授として教育活動をしていた時につくられたもので《田園》というニックネームで呼ばれているのはベートーヴェンの交響曲6番の《田園》に似た牧歌的な雰囲気を持っているためだと言われる。

ディアギレフがパリで旗揚げしたバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)のために1910年作曲した「火の鳥」の衝撃的な成功により、「ペトルーシュカ」「春の祭典」も注目を集めた。今回の「ペトルーシュカ」は、1947年の改訂版の演奏となります。
バレエ「ペトルーシュカ」は、魔術師の笛によって命を与えられた人形ペトルーシュカが、美しいバレリーナに恋をし、恋敵のムーア人(いずれも命を吹き込まれた人形)に殺されてしまうまでの出来事を、謝肉祭の街を舞台に描き出した作品です。
メロディーもリズムも楽器も多彩で本当に面白い!今回はラザレフさんの指揮の下、特に力が籠っていたようです。
バレエも見てみたい気がしますね!   で、帰ってyoutube で早速観てみました。
そして今回のラザレフさんの東京定期が出来たのは奇跡的なことだったようです。
これからも日本フィル、奇跡を起こしてください。

それでは、「ペトルーシュカ」バレエをどうぞ。

たけのこご飯

関東では桜の花が散って、今は八重桜か藤の花が咲き乱れています。
今年も千葉の友だちから筍が届きました。
早速お料理をしてみると、

若竹煮と筍ご飯、今日は鰆の照り焼きとこの頃美味しくなっただし巻き卵にほうれん草のおひたしです。
春の恵みをそのまま頂きました。
おいしかった〜

日本フィル第728回定期演奏会

3月5日(金)の日本フィル東京定期演奏会は、予定していた首席指揮者のインキネンがコロナ禍で日本にくることができないので、カーチュン・ウォンが指揮することとなりました。シンガポール生まれのカーチュ・ウォンは、今この時期注目の指揮者となっています。

ショスタコーヴィチ(バルシャイ編曲)/室内交響曲作品110a
R.シュトラウス/オーボエ協奏曲ニ長調
     ~休憩~
ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」
 指揮/カーチュン・ウォン
 オーボエ/杉原由希子
 コンサートマスター/扇谷泰朋
 ソロ・チェロ/菊地知也

プレコンサートが開かれ、「感謝のコンサート」と銘打ってコンサートマスターの千葉清加とチェロの菊地知也のデュオでヘンデル作曲ハルヴォルセン編曲パッサカリアが演奏されました。パッサカリアとはスペインやイタリアの古い舞曲で、緩やかな3拍子のもので、シャコンヌとともにバロックの音楽形式。お二人ともに超絶技巧を駆使しての素晴らしい演奏でした。

初めは、ショスタコ-ヴィチ(1906-75)の弦楽四重奏曲第8番をバルシャイ編曲で楽しみます。例の冒頭チェロの(レ・ミ♭・ド・シ DSCH)が最後まで繰り返し登場する。その間にユダヤ旋法とか過去の作品が引用されたりとにかく凄い曲です。注目のカーチュン・ウォン、悲痛にも見える表情で要所要所を抑えて力強く指揮をします。
大量の涙を流しながら苦しい気持ちで作曲したと言われるショスタコでしたが、

次は打って変わって美しいドレスを着たオーボエの杉原由希子のソロによるR.シュトラウス(1864-1949)のオーボエ協奏曲、美しいながらも何か憂いを含んだこの曲はシュトラウス81歳の高齢でしかも1945年の終戦でヨーロッパが崩壊し、一時ナチスに協力したかどで要注意人物として監視されていた頃、だから美しいのかな。

最後はベートーヴェンの「田園」カーチュン・ウォンの顔も晴れやかに伸び伸びと、所々では顔を向けるだけ、結構アクションは大きめ。2楽章終わりクラリネットのカッコウ、フルートはナイチンゲール、オーボエはウズラ、伊藤、真鍋、松岡の掛け合いグーでしたね。
コロナ禍の中にもかかわらず、盛りだくさんの曲を堪能することができました。

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