ウィーン国立歌劇場「アンドレア・シェニエ」

ウィーン国立歌劇場のアーカイヴ、今日はジョルダーノの「アンドレア・シェニエ」(2018年5月2日公演)2年前の公演ということになり、本当に忙しい毎日です。もうすっかり街中は車も多く、コロナ前の生活に戻ったかのようですが。

ジョルダーノ/歌劇「アンドレア・シェニエ」(2018年5月2日公演)
アンドレア・シェニエ/ヨーナス・カウフマン Jonas Kaufmann
カルロ・ジェラール/ロベルト・フロンターリ Roberto Frontali
マッダレーナ/アーニャ・ハルテロス Anja Harteros
ベルシ(マッダレーナの召使で混血児)/イルセヤー・カイルロヴァ Ilseyar Khayrullova
コワニー伯爵夫人(マッダレーナの母)/ドンナ・エレン Donna Ellen
老女マデロン/ゾルヤーナ・クシュプラー Zoryana Kushpler
ルーシェ(シェニエの友人)/ボアズ・ダニエル Boaz Daniel
ピエトロ・フレヴィーユ(小説家)/マニュエル・ウォルサー Manuel Walser
フーキエ・タンヴィル(検察官)/アレクサンドルー・モイシウク Alexandru Moisiuc
マシュー(共和派)/ヴォルフガング・バンクル Wokfgang Bankl
神父(実は詩人)/ベネディクト・コーベル Benedikt Kobel
密偵インクレディービレ/カルロス・オスナ Carlos Osuna
コワニー家の家老/マーカス・ペルツ Marcus Pelz
デュマ(裁判所長)/ダン・パウル・ドゥミトレスクー Dan Paul Dumitrescu
シュミット(サン・ラザール刑務所の看守)/アイク・マルティロッシアン Ayk Martirossian
指揮/マルコ・アルミリャート Marco Armilliato
演出/オットー・シェンク Otto Schenk
舞台/ロルフ・グリッテンペルグ Rolf Glittenberg
衣装/ミレアナ・カノネロ Mileana Canonero

ウンベルト・ジョルダーノ(1867ー1948)の「アンドレア・シェニエ」は、実在の人物を描いたものです。フランス革命の頃の詩人でロマン主義文学運動の先駆者の一人として知られています。そしてシェニエは、恐怖政治が終わる3日前に「国家反逆罪」で斬首刑となりました。

フランス革命の直前、伯爵家のパーティーでシェニエ(ヨーナス・カウフマン)は貴族を批判し、愛を賛美する詩を披露します。それを聞いたマッダレーナ(アーニャ・ハルテロス)は、シェニエに恋をします。
第2幕では、フランス革命の最中シェニエとマッダレーナは再会し二人は恋に落ちます。シェニエが革命政府に捕まり死刑が宣告され、マッダレーナは見知らぬ女性死刑囚の身代わりとなり一緒に死刑台に運ばれるところで終わります。

詩人にして剣の達人の恋多き青年貴族シェニエ役のカウフマンが歌う「恋がどういうものか、お目にかけましょう」”Un di all’azzurro spazio”で大拍手が湧きました。
マッダレーナ役のアーニャ・ハルテロスが歌う「母が殺されてから、私は愛を頼りに生きてきたのです」”La mamma morta”で苦しい心の内を告発します。ここでまたすごい拍手です。
マッダレーナを小さい時から見つめていたお人好のジェラール役のロベルト・フロンターリも存在感ありましたね!
演出は、オットー・シェンクですからフランス革命当時の舞踏会の様子が豪華で伝統的かつリアリスティックに描かれていてとても楽しい。
まだまだウィーン国立歌劇場のオペラ続きます
 それから今後のライブストリームもありますのでお楽しみに!

 

ウィーン国立歌劇場「アラベラ」

ウィーン国立歌劇場のアーカイヴ、今日はリヒャルト・シュトラウスの「アラベラ」(2017年3月17日公演)です。ウィーンの没落した貴族の娘アラベラが女占い師の予言通りに金持ちの結婚相手が見つかるという物語。アラベラ役には「カプリッチョ」や「影のない女」のカミラ・ニールンドが出演している。


アラベラ/カミラ・ニールンド Camilla Nylund
ズデンカ/チェン・レイス Chen Reiss
ヴァルトナー伯爵/ヴォルフガング・バンクル Wolfgang Bankl
アデラーイデ/ステファニー・ハウツィール Stephanie Houtzeel
マンドリカ/ボー・スコウフス Bo Skovhus
フィアカーミリ/ダニエラ・ファリー Daniela Fally
マッテオ/ヘルベルト・リッパート Herbert Lippert
エレメール伯爵/ノルベルト・エルンスト Norbert Ernst
ドミニク伯爵/ラファエル・フィンガーロス Rafael Fingerlos
ラルモール伯爵/マーカス・ペルツ Marcus Pelz
女占い師/ドンナ・エレン Donna Ellen
指揮/ペーター・シュナイダー Peter Schneider

19世紀末のウィーンを舞台にした美しい旋律にあふれたオペラです。
ウィーンの豪華なホテルで暮らしている伯爵一家ですが、実は家計は火の車。美貌の娘アラベラが玉の輿に乗ってくれれば…ともはやそれだけが頼みの綱でした。
聴き所は第1幕のアラベラ(カミラ・ニールンド)ズデンカ(チェン・レイス)の2重唱「もし、ふさわしい人が現れたら」そして第1幕最後のアラベラのモノローグ「私のエレメール」、第2幕マンドリカ(ボー・スコウフス )とアラベラの2重唱「父が申しますには、私と結婚なさりたいとか」そして第3幕の最後「まだ、そこにいらっしゃったのは」などで美しさに満ち溢れています。
ズデンカ役にチェン・レイスが、舞踏会の人気者フィアカーミリ役にはダニエラ・ファリーがウィーンのお馴染みソプラノとして出ており、伯爵夫人役にステファニー・ハウツィールがメゾで出演している。

ウィーン国立歌劇場「ドン・ジョバンニ」

5月後半のモーツァルト週間に「ドン・ジョバンニ」は、同じ演出で5月22日、5月26日、5月30日と3回配信されましたが、ここでは2017年1月29日公演のドンジョバンニがサイモン・キーンリーサイドのものと2015年11月1日公演のドンジョバンニがマリウス・クヴィエチェンのものを取り上げます。
両方とも指揮はアダム・フィッシャー、演出はジャン=ルイ・マルティノティ。

「ドン・ジョヴァンニ」(2017年1月29日公演)
ドン・ジョヴァンニ/サイモン・キーンリーサイド Simon Keenlyside
レポレルロ/エルヴィン・シュロット Erwin Schrott
ドンナ・アンナ/イリーナ・ルングー Irina Lungu
ドンナ・エルヴィーラ/ドロテア・レッシュマン Dorothea Roschmann
ドン・オッターヴィオ/ベンジャミン・ブルンス Benjamin Bruns
騎士長/ソリン・コリバン Sorin Coliban
ツェルリーナ/イレアナ・トンカ Ileana Tonca
マゼット/マニュエル・ヴァルサー Manuel Walser
指揮/アダム・フィッシャー Adam Fischer
演出/ジャン=ルイ・マルティノティ Jean-Louis Martinoty
舞台/ハンス・シェイヴァーノッホ Hans Schavernoch
衣装/ヤン・タックス Yan Tax
照明/ファブリス・ケブール Fabrice Kebour

「ドン・ジョヴァンニ」(2015年11月1日公演)
ドン・ジョヴァンニ/マリウス・クヴィエチェン Mariusz Kwiecien
レポレルロ/エルヴィン・シュロット Erwin Schrott
ドンナ・アンナ/マリーナ・レベカ Marina Rebeka
ドンナ・エルヴィーラ/ユリアーネ・バンゼ Juliane Banse
ドン・オッターヴィオ/ベンジャミン・ブリュンス Benjamin Bruns
騎士長/ソリン・コリバン Sorin Coliban
ツェルリーナ/アンドレア・キャロル Andrea Carroll
マゼット/パク・ヨンミン Jongmin Park

最初は、ドン・ジョバンニが、トーマス・キーンリーサイドのものを取り上げていたのですが、マリウス・クヴィエチェンがあまりにも若くてスリリングなドン・ジョバンニを演じたので思わず見入ってしまいました。マリウスはポーランド生まれの47歳、マリウスならついて行ってしまいそう・・・。レポレッロのエルヴィン・シュロットもいいですね!ドンナ・アンナのマリーナ・レベカはラトビア生まれのクリーンで力強いソプラノです。
グラインドボーンでも「ドン・ジョバンニ」を6月7日までやっています。
いろんな「ドン・ジョバンニ」を楽しむいい機会です。

ウィーン国立歌劇場「トリスタンとイゾルデ」

ウィーン国立歌劇場のアーカイヴは、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」(2015年1月18日公演)です。トリスタン役のペーター・ザイフェルトはバイロイトの常連、イゾルデ役のイレーネ・セオリンは「ニーベルングの指輪」で、ブリュンヒルデを演じたソプラノ、、クルヴェナル役のトーマス・コニェチュニーは、同じく「ニーベルングの指輪」でヴォータンをやった豪華メンバーの公演です、演出はデヴィッド・マクヴィカーで、ダンス的な動きに注目しましょう。

トリスタン/ペーター・ザイフェルト Peter Seiffert
イゾルデ/イレーネ・セオリン Irene Theorin
マルケ王/アルベルト・ドーメン Albert Dohmen
クルヴェナル/トーマス・コニェチュニー Tomasz Konieczny
ブランゲーネ/ペトラ・ラング Petra Lang
メロート/ガブリエル・ベルムデツ Gabriel Bermudez
羊飼い/カルロス・オスナ Carlos Osuna
舵手/イル・ホン Il Hong
若い水夫/ジェイソン・ブリッジス Jason Bridges
指揮/ペーター・シュナイダー Peter Schneider
演出/デヴィッド・マクヴィカー David McVicar
舞台装置/ロバート・ジョーンズ Robert Jones
照明/ポール・コンスタブル Paule Constabl

中世、アイルランド王国からイギリスのコーンウォールに向かう船の上、アイルランドの王女イゾルデ(イレーネ・セオリン)がコーンウォールの王マルケ(アルベルト・ドーメン)の妃となるべく、侍女のブランゲーネ(ペトラ・ラング)を伴って船でコーンウォールに向かっている。トリスタン(ペーター・ザイフェルト)は、かつてイゾルデの婚約者を戦いで殺害していたがイゾルデはその事実を知りながらトリスタンが戦いで負った傷を治してしまった。そしていつの間にかトリスタンに恋をしてしまっている。トリスタンはマルケ王の甥で、王に使える騎士として船上では、タントリスと名前を変えているがトリスタンもイゾルデを愛してしまっている。イゾルデは、いっそのこと「死の薬」を飲んで二人とも死んでしまおうとブランゲーネに「死の薬」を持ってこさせたが持ってきたのは「愛の妙薬」だった。「愛の妙薬」を飲んだ二人は、
第2幕コーンウォール、マルケ王の城の庭での有名な「愛の二重唱」となり日の射さない「愛の夜の国」に行くことを決意する。メロートが、裏切られた王のために剣をトリスタンに向け、トリスタンは倒れる。
第3幕フランス北西部ブルターニュ地方のカレオールにあるトリスタン城の庭。トリスタンはクルヴェナル(トーマス・コニェチュニー)によって故郷に連れられ瀕死の状態にあり、イゾルデの船が着いて、駆けつけると間も無くトリスタンは息絶える。クルヴェナルもメロートも死んでしまい、最後にイゾルデも「愛の死」を歌い静かに息を引き取る。。マルケ王が冥福を歌う中で、幕が下りる。

 

ウィーン国立歌劇場「連隊の娘」

ウィーン国立歌劇場のアーカイヴは、ドニゼッティの「連隊の娘」(2016年9月25日公演)です。METでナタリー・デッセイとフアン・ディエゴ・フローレスのコンビで「連隊の娘」をやった時の演出(ローラン・ペリー)と一緒ですが、勝るとも劣らない出来栄えです。トニオ(ジョン・テジエ)の歌うハイCの連続にも注目。

マリー/ジュリー・フックス Julie Fuchs
トニオ/ジョン・テジエ John Tessier
ベルケンフェルト侯爵夫人/ドンナ・エレン Donna Ellen
スルピース/カルロス・アルバレス Carlos Alvarez
オルテンシウス/マルクス・ペルツ Marcus Pelz
クラーケントープ侯爵夫人/イルディコ・ライモンディ Ildiko Raimondi
農民/ドリタン・ルカ Dritan Luca
公証人/フランソワ・レスティ Francois Roesti
伍長/コンラット・フーバー Konrad Huber
指揮/エヴェリーノ・ピド Evelino Pido
演出及び衣装/ローラン・ペリー Laurent Pelly
舞台装置/シャンタル・トマ Chantal Thomas
舞台稽古/クリスチャン・レート Christian Rath
照明/ジョエル・アダム Joel Adam
振付/ラウラ・スコッツィ Laura Scozzi
台詞/アガーテ・メリナン Agathe Melinand

ナポレオン戦争の真っ只中、マリーは戦場でフランス軍に拾われ、軍のアイドルになります、そして命を救ってくれたトニオと恋に落ちます。マリーの身元が「公爵夫人の姪」だったことが明らかになりマリーはパリに連れて行かれ、政略結婚をさせられそうになります。するとトニオ率いる軍隊が現れ阻止しようとします。マリーが実は公爵夫人の実の娘とわかりトニオとの結婚を許すことになりめでたし めでたし!
マリー役のジュリー・フックスの声がいい、シルキーな高音と官能的な中音を備えているフランスのソプラノ、違う役でも聴いてみたい注目歌手です。トニオ役のジョン・テジエもまたいろんな役で変身できそうですね、本当に楽しい「連隊の娘」でした。

 

ウィーン国立歌劇場「魔笛」

ウィーン国立歌劇場のライブストリーミングは、モーツァルト週間の第2弾「魔笛」です。(2017年12月29日公演)5月25日02:00〜5月27日02:00まで放映されます。ウィーンではクリスマスも終わり、ゆったりと寛いでいる12月29日の公演で観客たちも楽しみながら魔法の世界に浸ってるようでした。

タミーノ/イエルク・シュナイダー Jorg Schneider
パミーナ/オルガ・ベズメルトナ Olga Bezsmertna
夜の女王/ヒラ・ファヒマ Hila Fahima
ザラストロ/ルネ・パーペ Rene Pape
パパゲーノ/トーマス・タッツル Thomas Tatzl
パパゲーナ/イレアナ・トンカ Ileana Tonca
弁者・第2司祭/ヨッヘン・シュメッケンベッヒャー Jochen Schmeckenbecher
第1司祭/ペーター・イェロジッツ Peter Jelosits
第1の侍女/カロリーネ・ウェンボーン Caroline Wenborne
第2の侍女/ウルリケ・ヘルツェル Ulrike Helzel
第3の侍女/ボンジヴェ・ナカニ Bongiwe Nakani
モノスタトス/ベネディクト・コーベル Benedikt Kobel
第1の兵士/ヘルベルト・リッパート Herbert Lippert
第2の兵士/ライアン・スピード・グリーン Ryan Speedo Green
指揮/アダム・フィッシャー Adam Fischer
演出/モーシェ・ライザー&パトリス・コリアー Moshe Leiser, Patrice Caurier
舞台/クリスチャン・フェノイヤ Christian Fenouillat
衣装/アゴスティーノ・カヴァルカ Agostino Cavalca
照明/クリストフ・フォレー Christophe Forey
振付/ベアーテ・フォラック Beate Vollack

皆様がよくご存知の「魔笛」、ウィーン国立歌劇場の錚々たるたるメンバーが揃って出演しています。ルネ・パーペのザラストロは存在感がありましたし、トマス・タッツルのパパゲーノも鳩の使い方がとってもうまかった。ヒラ・ファヒマの夜の女王、タミーノのイエルク・シュナイダー、パミーナのオルガ・ベズメルトナは「ペレアスとメリザンド」にも出演。タミーノの魔笛に合わせて 白熊・黒熊・サイ・大蛇・ダチョウ・ゴリラなどが踊り出してとっても楽しい一時でした。

ウィーン国立歌劇場「イドメネオ」

ウィーン国立歌劇場のアーカイヴ、5月下旬はモーツァルト週間のようなラインナップです。今日はモーツァルト「イドメネオ」(2019年2月22日の公演)初めて観るオペラです。今度はクレタの王子とトロイの王女が結ばれる物語で、エレットラ(アルゴスの女王)も出てきます。

イドメネオ/ベルンハルト・リヒター Bernhard Richter
イダマンテ/レーチェル・フレンケル Rachel Frenkel
エレットラ/イリーナ・ルングー Irina Lungu
イリア/ヴァレンチナ・ナフォルニツァ Valentina Nafornita
アルバーチェ/パーヴェル・コルガティン Pavel Kolgatin
大司祭/カルロス・オスナ Carlos Osuna
神託の声/ペーター・ケルナー peter kellner
指揮/トマーシュ・ネトピル Tomas Netopil
演出/カスパー・ホルテン Kasoer Holten
舞台/ミア・シュテンスガード Mia Stensgaard
衣装/アニヤ・ヴァン・クラフ Anja Vang Kragh
照明と映像/ジェスパー・コンシャウ Jesper Kongshaug

紀元前1200年トロイ戦争の直後、クレタの王イドメネオ(ベルンハルト・リヒター )は、航海中に嵐に会います。イドメネオは、海神ネプチューンに「命を助けてくれれる代わりに、陸に上がって最初に会った人間を生贄として差し出す」と約束します。しかし最初に会ったのは、自分の息子イダマンテ(レーチェル・フレンケル)でした。イドメネオは息子を逃がそうとしますが、ネプチューンの怒りを買い、怪物によって町は破壊されます。捕虜としてクレタ島で暮らしているトロイの王女イリア(ヴァレンチナ・ナフォルニツァ)は、イダマンテと恋愛関係にあり、エレットラ(イリーナ・ルングー)もまたイダマンテに想いを寄せている。イダマンテは怪物を倒したが町はおさまらず、自分が生贄になると決意し、イリアも自分が生贄になることを申し出た。と天の声(民衆の声)が〝イドメネオは退位せよイダマンテが新しい王となり、イリアはその妃となれ〟と告げる。
王子を自分のものにできなかったエレットラは怒り狂い立ち去ります。
イドメネオとイリアのもと人々は愛と平和を喜びます。

イダマンテ役はメゾソプラノの(レーチェル・フレンケルイリア)とイリア役(ヴァレンチナ・ナフォルニツァ)はウィーンのアンサンブルメンバーとして「真夏の夜の夢」でも共演している。特にヴァレンチナ・ナフォルニツァは現在活躍目覚ましい「ドン・パスクワーレ」など。エレットラ役のイリーナ・ルングもまたウィーンで活躍しているソプラノ。モーツァルトのオペラ「魔笛」「ドン・ジョバンニ」「フィガロの結婚」と続き楽しい1週間が送れそうです。
そろそろグラインドボーンも無料配信しますので注目!ここもモーツァルトですよ!

ウィーン国立歌劇場「魔弾の射手」

ウィーン国立歌劇場ライブ・ストリーミングは、ウェーバー「魔弾の射手」(2018年9月11日公演)で、5月20日02:00〜5月23日02:00まで視聴可能です。「魔弾の射手」といえば勇壮な序曲と「狩人の合唱」が浮かびます。ウェーバーはワーグナーに影響を与えた人でドイツのオペラの出発点ともなった人、マックス役のクリストファー・ヴェントリスもカスパール役のトマーシュ・コニェチュニーもアガーテ役のアンナ・ガブラーも「ニーベルングの指輪」に出演していました。ウェーバーとワーグナーとはそんなにも関係が深いということかしら。

マックス/クリストファー・ヴェントリス Christopher Ventris
カスパール/トマーシュ・コニェチュニー Tomasz Konieczny
アガーテ/アンナ・ガブラー Anna Gabler
ザミエル/ハンス・ペーター・カンマラー Hans peter Kammerer
エンヒェン/チェン・レイス Chen Reiss
オットカール侯爵/サミュエル・ハッセルホーン Samuel Hasselhorn
クーノー/クレメンス・ウンターライナー Clemens Unterreiner
隠者/フォルク・シュトラックマン Falk Struckmann
キリアン/ガブリエル・ベルムデツ Gabriel Bermudez
指揮/セバスチャン・ヴァイグレ Sebastian Weigle
演出/クリスティアン・レート Christian Rath
舞台装置/ゲーリー・マッキャン Gary McCann
照明/トーマス・ハーゼ Thomas Hase
映像/ニーナ・ダン Nina Dun

マックス(クリストファー・ヴェントリス)は、射撃大会に優勝して、恋人アガーテ(アンナ・ガブラー)と結婚したいと思っていますが、スランプに陥って思うように射撃できません。ライバルのカスパールは、悪魔ザミエルに魂を売り、魔弾を手にしました。しかし明日までに新しい魂を差し出さなければ、命を失うことになるので、その犠牲者にマックスを狙っっています。マックスはカスパールの策略にはまり、悪魔から魔弾を授かります。悪魔ザミエルは「魔弾は6発までは命中するが7発目の行き先は私が決める」と言い、当日7発目の魔弾がアガーテにに向けられ倒れ込みますが、魔弾は、隠れていたカスパールに命中し息絶えます。

今回演出家クリスティアン・レートは、読み替えをしていて、マックスは猟師ではなくて作曲家で、7つの魔弾ではなくて7羽のカラスと7枚の楽譜に象徴される。7番目の魔弾とは7つ目のインスピレーションということになる。
つまりマックスは結婚式の前にかかりっきりになっているオペラを完成させなければならないが完成できないのではないかという不安がある。カスパールはマックスのうちに秘めている暗い想像力を差し出せば作曲できるのではと悪魔のような狼谷を目指します。
舞台の中央にグランドピアノが置かれていて、ピアノの燃える炎の中で楽譜を燃やし、真っ黒なカラスが飛び跳ねているシーンは迫力満点。
私の大好きなチェン・レイスがアガーテの従姉妹役エンヒェンをやっていて、歌も声もいいんですが、アガーテとレズ?なの?と思われる不思議な関係をうまく演じている。「利口な女狐の物語」もよかったけれど、こんな役もできるのかなんて感心してしまいました。
クーノーの祖先の肖像画がアガーテのおでこにあたり傷ができてしまう、描かれている肖像画はウェーバー自身で、3幕の「狩人の合唱」でも角のほうにウェーバーの肖像画が置いてありました。

最後領主がマックスを戒めますが、隠者が現れ一度の過ちなのに厳しすぎる、マックスがオペラを作曲しなければならない期間に1年の猶予を与えその後結婚させる、で めでたし めでたし!


 

簡単バナナケーキ

バナナを使ったバナナケーキを作ってみました。
バナナ4本と卵2個とホットケーキミックス150g だけ。

卵2個とバナナ2本をポリ袋の中に入れぐちゃぐちゃにしてから
ホットケーキミックス150gを振るって入れ、
バターを塗ったケーキ型の中に、スライスした残りのバナナ2本を並べ、
ポリ袋の中身をケーキ型に流し入れてオーブン180度で35分焼くだけ。
とっても簡単で美味しい!

ウィーン国立歌劇場「ドン・パスクワーレ」

ウィーン国立歌劇場のアーカイヴ、今日はドニゼッティの「ドン・パスクワーレ」(2016年4月21日公演)で、今回もフローレスが大サーヴィスをして、観客の拍手に答えて何回お辞儀をしたことでしょう。

ドン・パスクワーレ」(2016年4月21日の公演)
ドン・パスクワーレ/ミケーレ・ペルトゥージ Michele Pertusi
ノリーナ/ヴァレンチナ・ナフォルニツァ Valentina Nafornita
エルネスト/フアン・ディエゴ・フローレス Juan Diego Florez
マラテスタ/アダム・プラチェツカ Adam Plachetka
公証人/ヴォルフラム・イゴール・デルントル Wolfram Igor Derntl
指揮/エヴェリーノ・ピド Evelino Pido
演出/イリーナ・ブルック Irina Brook
舞台装置/ノエル・ジネフリ=コーベル Noelle Ginefri-Corbel
衣装/シルヴィー・マーチン=ヒズカ Sylvie Martin-Hyszka
振付/マーチン・バツコ Martin Buczko
照明/アルノー・ユング Arnaud Jung

ウイーン国立歌劇場のアーカイヴは、ロッシーニの「セビリアの理髪師」から今度はドニゼッティの「ドン・パスクワーレ」になります。フアン・ディエゴ・フローレスは「セビリアの理髪師」でギターの弾き歌いをやったのでまた今度も何かやってくれるのではないかと・・・思った通りオペラ界のプレスリーと言ってもいいくらい腰をふりふりターンをして観客に大サーヴィスです。

お金持ち老人ドン・パスクワーレ(ミケーレ・ペルトゥージ)が、若い娘ノリーナ(ヴァレンチナ・ナフォルニツァ)と結婚できると浮き足立っていると、ノリーナと恋人で甥のエルネストそれから主治医のマラテスタの3人にコテンパンにやられ莫大な財産も取られてしまうというお話。

演出がイリーナ・ブルック(イギリスの演出家ピーターブルックの娘)ということで、舞台はバー。全体にショッキングピンクのライトが当たってキラキラの中で若いノリーナは好き勝手に老人を痛めつけます。痛快!痛快!

ドン・パスクワーレ役のミケーレ・ペルトゥージはイタリアのパルマ生まれで、スカラ座やMETウィーン国立歌劇場など世界中のオペラハウスで活躍しているバス・バリトン 、ノリーナ役のヴァレンチナ・ナフォルニツァは、モルドバ生まれのソプラノ、ウィーンのメンバーとして「真夏の夜の夢」「フィデリオ」「ナクソス島のアリアドネ」に参加している。ファン・ディエゴ・フローレスは、もう皆さんご存知の通り今乗りに乗っているスペインのテノール、いえ世界のテノールです。




メトロポリタン歌劇場「テンペスト」

最近では、起きると朝食をとって、あたりを片付けて朝5:00くらいから起きている主人からオペラの情報を聞いて、今日見るオペラを決め、まず1本観てから行動開始です。
今日は、METで「ハムレット」を演じたサイモン・キーンリーサイドがプロスペローになる「テンペスト」(これもシェイクスピアですね)をやるというので急いで見てみました。
MET ナイトリーオペラストリーム、トーマス・アデス作曲「テンペスト」のサイモン・キーンリーサイドぴったりですね!
コロナ以来音楽不足なんてとんでもないことで、どれを観たら聞いたらいいか迷ってしまうくらい!

トーマス・アデス/歌劇「テンペスト」
プロスペロー/サイモン・キーンリーサイド Simon Keenlyside
エアリエル/オードリー・ルーナ Audrey Luna
カリバン/アラン・オーク Alan Oke
ミランダ/イザベル・レナード Isabel Leonard
ファーディナンド/アレック・シュレイダー Alek Schrader
ナポリ王/ウイリアム・バーデン William Burden
ゴンザーロ/ジョン・デル・カルロ John Del Carlo
セバスチャン/クリストファー・フェイガム Christopher Feigum
アントニオ/トビー・スペンス Toby Spence
トリンクロ/イェスティン・デイヴィス Iestyn Davies
ステファーノ/ケヴィン・バーデット Kevin Burdette
指揮/トーマス・アデス Thomas Ades
演出/ロバート・ルパージュRobert Lepage
台本/メレディス・オークス Meredith Oakes
 
早熟の天才として、「現代のモーツァルト」「ブリテンの再来」などと呼ばれてきた作曲者トーマス・アデス(1971年3月1日ロンドン)の指揮です。

ミラノ大公プロスペローは、弟アントニオに地位を奪われて追放され、流れ着いた孤島で娘のミランダと暮らしていた。魔法の力を手に入れたプロスペローは、妖精エアリエルに命じて嵐を起こし、アントニオとナポリ王のアロンゾが乗った船を難破させ、孤島に漂着させる。ナポリ王子ファーディナンドはミランダと恋に落ち、プロスペローの試練を経て彼女と結ばれる。プロスペローはエアリエルを操って公国を取り戻し、魔法の力を捨てる。

というシェイクスピアの戯曲ですが、演出家のロバート・ルパージュは、ミラノのスカラ座の観客席を舞台上に持ってきて劇中劇の形で進めます。
シャンデリアにぶら下がっている妖精のエアリエル(オードリー・ルナ)が超高音の奇声をあげて叫び動き回るところはまるでダンサーかしらと思うほどでしたがルナのアクロバット的なところも歌唱力もただものではない感じがします。注目したい歌手ですね!
 
ミラノ大公だったプロスペロー(サイモン・キーンリーサイド)ですが、大公の服装を肩に引っ掛け、島暮らしの刺青を施した身体は凄みがあります。そのまま「リア王」ができそうなくらいにぴったりな役です。彼は英国でナイトの称号が贈られウィーンでも賞をもらっている今最高級のバリトンです。「ハムレット」もすごかった。復讐のつもりが、娘のミランダとナポリ王子のファーディナンドの愛によって諦めてしまうところが人間的な諦めの境地かしら。

そういえば、カウンターテナー、トリンクロ役のイェスティン・デイヴィスは鵠沼サロンコンサートに来て歌ってくれました。たくさんの発見があった「テンペスト」でした。