ほとんどののオペラハウスで、ストリーミングが始まったので、何を観ようかと迷ってしまうほど。
今日はMETのトーマス「ハムレット」(2010年3月27日公演)を観ることにしました。先日の「ペレアスとメリザンド」でゴロー役のサイモン・キーンリーサイドがハムレットになるので(彼は2018年に英国のナイトの称号をもらった人)、声はもちろん演技が素晴らしいしハムレットにぴったり、観てみたら本当に迫真の演技でした。
王子ハムレット、ガートルードの息子/サイモン・キーンリーサイド Simon Keenlyside
オフィーリア/マーリス・ピーターセン Marise Petersen
クローディアス、デンマークの王/ジェームス・モリス James Morris
ガートルード、デンマークの王妃/ジェニファー・ラ ーモア Jennifer Larmore
指揮/ ルイ・ラングレー Louis Langree
演出/パトリック・コーリー Patrice Caurier ,Moshe Leiser
シェイクスピアの「ハムレット」といえば知らない人がない作品ですが、Thomasのフランス読みでトマのオペラ「ハムレット」は、フランス語で演じられます。
ハムレット役のサイモン・キーンリーサイドが、暗殺者の現王の前で暗殺劇を上演し、気が狂れたふりをして赤ワインを振りまくシーンはダイナミックな演出で凄みがあります。血のような赤いシミがテーブルクロスに染み付き、血まみれのようになって暴れまわる。それからハムレットの母親役のジェニファー・ラーモアの声も顔も演技も注目です。
オフィーリアの「狂乱の場」も見所たっぷり、マーリス・ピーターセンは、花束を使って華麗に狂い動きます。ロンドンのテート美術館にあるミレーの「オフィーリア」の絵のように。
原作のハムレットは、敵討ちをした後自分も死ぬんですが、トマの「ハムレット」では、最後に前王が出てきて死なないで王になるんです。それは原作に親しんでいる人には受け入れられなくて今回の2010年MET版では「オフィーリア、私は君と共に死ぬ」と原作通りになって終わるということです。