日本フィル・下野竜也「イゾベル・ゴーディの告白」

3月2日(金)

日本フィル今日の指揮者は下野竜也さん。
魔女狩りとか迫害とか抑え込まれる恐怖を音楽で表現したら、

スッペ/喜歌劇「詩人と農夫」序曲
尹 伊桑(ユン・イサン)/チェロ協奏曲
~休憩~
マクミラン/イゾベル・ゴーディの告白
ブルックナー(スクロヴァチェフスキ編曲)/弦楽五重奏曲ヘ長調より「アダージョ」
指揮/下野竜也
チェロ/ルイジ・ピオヴァノ
コンサートマスター/扇谷泰朋
ソロ・チェロ/辻本玲

スッペ(1819-95)「詩人と農夫」序曲は、次のユン・イサンのチェロ協奏曲とチェロ部分演奏の違いを聴いてみる。

尹 伊桑 ユン・イサン(1917-95)は、韓国出身の現代作曲家で、20歳くらいの時2度来日し、戦後はパリ音楽院、ベルリン芸術大学で学び、63年には北朝鮮を訪れ金日成とも親交を持つが、67年西ベルリンでKCIAに拉致され、ソウルで死刑宣告されたが69年大統領特赦で釈放された。という経歴の持ち主。
このチェロ協奏曲のチェロは私自身であり、オーケストラは私を取り巻く環境であり、悪と善が絡み合う〝社会〟であり個人の運命を左右する大きな〝世界〟であると言っている。チェロも「詩人と農夫」のような長閑な雰囲気とは違っている。チェロはマエストロの友達のルイジ・ピオヴァノさんアンコールにイタリア アブルッツォ地方の子守唄をハミングしながら演奏でした。

次はマクミラン(1959-)のイゾベル・ゴーディ(1625-62?)の告白
イゾベル・ゴーディは、17世紀にスコットランドに実在した自称〝魔女〟である。「魔女狩り」や「魔女裁判」がヨーロッパでは実際に行われており、スコットランドでも1560年から1707年までおよそ4500人が犠牲になったという。それをスコットランド出身のマクミランが音楽にした。下野が言うように本当にマクミランの曲は面白い。打楽器が多く使われバーンスタインのウエストサイド物語のよう。 耳に心地よいハーモニーから13人の魔女集団が登場する不協和な響きによる凶暴な楽想が乱舞すると、13回連打される弦と木管による和音の最強奏、ここから魔女のやりたい放題が始まり最後はC(ド)の音に集まり強烈なクレッシェンドをかけて終わる。
とそのままブルックナー(1824-96)の弦楽五重奏曲「アダージョ」スクロヴァチェフスキー編曲オーケストラバージョンに入り悲しみ深い典雅なアダージョが魔女の魂を慰めて終わる。という素晴らしい演奏会でした。

GINTO ZOE 銀座でランチ

3月1日(木)

今日は、午後になって暖かく20℃くらいにはなったのかしら。
いつものメンバーでランチです。
GINTO ZOE 銀座 フランス料理

この頃なかなか参加する機会がなかったのですが、久しぶりに皆さんとお会いして今後の方針などを決めました。
遠くから来てくれる人もいるので、年に3回として自由参加。
忙しい人が多いので日程を決めるのが大変です。長く続けられますように!

 

二期会 オペラ「ローエングリン」

2月25日(日)

少し暖かくなって上野公園あたりにも人々が休日を楽しむ様子が見られ、国立西洋美術館では、2月24日から5月27日までプラド美術館展「ベラスケスと絵画の栄光」をやっています。

少し公園を散歩して、私たちは東京文化会館のリヒャルト・ワーグナーの「ローエングリン」二期会公演に行きました。エルザ役の木下美穂子さんが出る最終日25日のものです。
公演後は上野精養軒のお料理を食べながらちょっと難しい演出の謎解きを美穂子さんにお願いしました。

ハインリッヒ・デア・フォーグラー/金子宏
ローエングリン/小原啓楼
エルザ・フォン・ブラバント/木下美穂子
フリードリヒ・フォン・テルラムント/小森輝彦
オルトルート/清水華澄
王の伝令/加藤清孝
ブラバントの貴族Ⅰ/菅野敦
ブラバントの貴族Ⅱ/櫻井淳
ブラバントの貴族Ⅲ/湯澤直幹
ブラバントの貴族Ⅳ/金子慧一
小姓Ⅰ/久野綾子、田貝沙織
小姓Ⅱ/青柳玲子、高山美帆
小姓Ⅲ/藤長静佳、三小田晃子
小姓Ⅳ/中島千春、船越優
青年時代のローエングリン/丸山敦史
ゴットフリート/上村亜呂葉
合唱/二期会合唱団
管弦楽/東京都交響楽団
指揮/準・メルクル
演出/深作健太

二年前の「ダナエの愛」の準・メルクルと深作健太のコンビで、今回も「ローエングリン」を上演するという、深作健太さんは、「バトル・ロワイヤル」で有名な深作欣二監督の息子さんで最近では数々の舞台演出を手掛けていて賞を沢山もらっているとても真面目な演出家。

「ローエングリン」は勇ましく無垢な、白鳥の騎士という〈英雄〉の降臨を歌ったオペラで小原啓楼が歌います。同時に,彼に跪き、あるいは彼の誓いを破ってしまう、エルザに代表される〈人間〉の心の弱さ、儚さを謳ったオペラで木下美穂子が歌います。この二人は京都のロームシアターこけら落とし公演「フィデリオ」でも共演しました。

準・メルクルは「ローエングリン」の物語には、正確な年代設定がありそれは933年で、キリスト教が中央ヨーロッパに入ってきたころで、古の神々と混在していて、どちらの宗教が勝つかの戦いで、ワーグナーは、キリスト教の世界を大変明るく鮮やかに描き出した。神の存在を、外から光が差し込んでくるような明るい色、透明で美しく、新しい色で描いています。

そして今回の演出の時代設定を、19世紀末のバイエルン王国とし、建設途中のノイシュバンシュタイン城で破滅の間際に見たバイエルン国王の〈夢〉、実際に中世に憧れ、国家財政を傾けてまでローエングリンになりたかったがなれなかった男、ルートヴィヒ二世をローエングリンと重ねて、舞台にはスマートな丸山敦史が出てきます。

オルトルートが持っている真っ赤な林檎は、毒の象徴で、これが近づくと、邪悪な心が芽生えます。
異教徒の魔女オルトルート役の清水華澄さんの悪女ぶりは本当にに大熱演でした。

ローエングリン役の小原啓楼は、ソフトな声ですが、とっても白鳥の王子の雰囲気が出ていて素敵でした。マエストロ準・メルクルは、歌手の個性を生かして伸び伸びと歌わせるのはさすが。
もちろん木下美穂子のエルザ、迫力があって最高でした。
10月7,8日には札幌文化芸術劇場のこけら落とし公演「アイーダ」指揮バッティストーニ、タイトルロール木下美穂子で出演します。そして「アイーダ」は、神奈川県民ホール、兵庫県立芸術文化センター、大分・iichiko総合文化センターと日本縦断をする予定だそうです。

読響 テミルカーノフ 

2月16日(金)

読売日響・第575回定期演奏会は、ロシアの指揮者ユーリ・テミルカーノフです。

チャイコフスキー/幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」
ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲
~休憩~
ラヴェル/組曲「クープランの墓」
レスピーギ/交響詩「ローマの松」
指揮/ユーリ・テミルカーノフ
ピアノ/ニコライ・ルガンスキー
コンサートマスター/長原幸太

読響の名誉指揮者テミルカーノフは2018年で80歳を迎え、もう好きな作品しか指揮しない年齢ですと宣言しているように今回の演奏会は魅力的な作品ばかり。

チャイコフスキー(1840-93)の「フランチェスカ・ダ・リミエ」は、彼がワグナーの「ニーベルングの指輪」初演に臨席した時、その恐るべき才能に圧倒され、わずか1か月半でダンテの「新曲」地獄篇の第5歌をもとにした幻想曲を完成させた。地獄に嵐が吹き荒れる中の悲恋物語です。

次のラフマニノフ(1873-1943)は、マエストロご指名のピアニスト、ニコライ・ルガンスキーが登場です。ラフマニノフとよく似た長身で指の長いルガンスキーが弾く「パガニーニの主題による狂詩曲」は、まるでラフマニノフ自身が弾いているかのような錯覚に陥りました。

ラヴェル(1875-1937)は「クープランの墓」について、「クープランただ一人にというより、18世紀のフランス音楽全体に捧げられたオマージュ」と語っているように、どこまでも洗練されたラヴェルらしい音楽で、舞曲が彩りを添える。

最後のレスピーギ(1879-1936)「ローマの松」の華やかなこと、テミルカーノフは指先をちょっと動かすだけなのにP席オルガンの横のバンダが加わってホール全体に大音響を鳴らします。

 

サルビアホール クァルテット・ベルリン=トウキョウ

2月13日(水)

サルビアホール クァルテット・シリーズ 第92回はクァルテット・ベルリン=トウキョウです。

ヴァイオリン:守屋剛志 モティ・パブロフ ヴィオラ:ケヴィン・トライバー チェロ:松本瑠衣子

ハイドン/弦楽四重奏曲第64番ニ長調作品76-5「ラルゴ」
バルトーク/弦楽四重奏曲第1番
~休憩~
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第9番ハ長調作品59-3「ラズモフスキー第3」
クァルテット・ベルリン=トウキョウ

2011年ベルリンで出会った4人によって結成され、翌2012年ARDミュンヘン国際音楽コンクール弦楽四重奏部門において特別賞を受賞。ミュンヘン国際音楽コンクールで優勝は、このブログで何回続いたでしょうか?このところ世界最高峰のクァルテットやソリストをご近所感覚で聴いているんですが、こんな贅沢していていいのかしらと思いながら毎日を送っている〝しろくま〟です。

ハイドン(1732-1809)64歳の円熟期に作られた、ハイドンセットの5曲目「ラルゴ」の素晴らしかったこと、とろけるよう。

バルトーク(1881-1945)は、生涯に6曲の弦楽四重奏曲を作曲している。この1番は27歳の1908年に作曲されており難しい曲なんですが初めて聞く人にも引きつけられるような緊張感と魅力がありました。

ベートーヴェン(1771-1827)の中期「傑作の森」の頂点をなす名作、ラズモフスキー3番の早かったことテクニックを超えた境地に入っているみたい。
アンコールはモーツァルトの「不協和音」から2楽章。

 

河村尚子 ピアノリサイタル

2月12日(月)

新浦安の浦安音楽ホールにて、河村尚子さんのリサイタル
ピアノでドイツ3大B(Bach,Beethoven,Brahms)の音楽を聴くことが出来ました。

J・S・バッハ/羊は安らかに草を食み
J・S・バッハ/パルティータ第1番変ロ長調
ブラームス/間奏曲イ長調作品118-2
ブラームス/バラードト短調作品118-3
ブラームス/間奏曲ホ長調作品116-4
ブラームス/奇想曲ト短調作品116-3
~休憩~
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第8番ハ短調作品13「悲愴」
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調作品27-2「月光」

河村尚子さんといえば、ハノーファー国立芸術大学在学中、ミュンヘン国際音楽コンクールで2位、
国内でも数々の賞を取っていて、現在ドイツ・エッセンのフォルクヴァング芸術大学教授。
アンコールはバッハのフルートソナタから有名なシシリア―ノ(ケンプがピアノソロにアレンジしたもの)。
演奏会後のサイン会でも長蛇の列が出来、たくさんのファンに囲まれて堂々としていました。

 

鵠沼サロンコンサート セバスティアン・マンツ

2月11日(日)

第370回鵠沼サロンコンサートは、世界のアーティスト最前線、クラリネットのセバスティアン・マンツを迎えて、ピアノの今峰由香さんとロータスクァルテットの斎藤千尋さんです。

ブラームス/ピアノのための6つの小品 作品118
ブラームス/クラリネット・ソナタ第1番ヘ短調 作品120-1
~休憩~
ブラームス/クラリネット・ソナタ第2番変ホ長調 作品120-2
ブラームス/クラリネット三重奏曲イ短調 作品114
クラリネット/セバスティアン・マンツ
ピアノ/今峰由香
チェロ/斎藤千尋

セバスティアン・マンツは2008年、弱冠22歳でADRミュンヘン国際音楽コンクールのクラリネット部門で第1位に輝いただけでなく、聴衆賞、オスナーブリュック音楽賞などの特別賞を獲得した素晴らしい経歴の持ち主で現在32歳、追っかけ風のファンも来ていました。
ピアノの今峰由香さんは、32歳でミュンヘン国立音楽大学のピアノ科教授に就任したという実力者。
斎藤千尋さんは、有名なロータス・クァルテットのチェリスト。
3人ともシュトゥッガルトに住んでいて、ブラームスのクラリネットソナタと、クラリネット三重奏が実現しました。
なんという豪華なブラームスの世界でしょう。
アンコールはシューマンの小品です。
明日は名古屋に行くと言っていました。宗次ぐホールかな?

サルビアホール カルテット・アマービレ

2月7日(水)

サルビアホール 第91回クァルテットシリーズは、カルテット・アマービレです。

篠原悠那、北田千尋(ヴァイオリン)    キリル・ズロトニコフ(チェロ)
中恵菜(ヴィオラ)           磯村和英(ヴィオラ)
笹沼樹(チェロ)

2015年 桐朋大学在学中にメンバーが結成され、2016年9月難関で知られるミュンヘン国際音楽コンクールで3位に入賞、合わせて特別賞(コンクール委嘱作品の最優秀解釈賞)も受賞した期待の新人です。

シューベルト/弦楽四重奏曲第12番ハ短調D.703「四重奏断章」
シューベルト/弦楽五重奏曲ハ長調D.956
~休憩~
ブラームス/弦楽六重奏曲第1番変ロ長調作品18
カルテット・アマービレ
ヴィオラ/磯村和英
チェロ/キリル・ズロトニコフ Kyril Zlotnikov

シューベルト(1797-1828)の「四重奏断章」の次は、
ミュンヘン国際音楽コンクール弦楽四重奏部門の審査員であるキリル・ズロトニコフのチェロを加えて、シューベルトの弦楽五重奏曲、3楽章でズロトニコフの弦が切れてしまい中断することになりましたが難無く引き次ぐことが出来ました。シューベルトは15曲の四重奏曲の後、死の年1828年にチェロを1本加えてさらに長大化した傑作を書いたのがこの曲で、8~9月に作曲し、11月には亡くなっている。
さらにブラームスの弦楽六重奏曲第1番では、現在は桐朋大学の特任教授で東京クァルテットのビオラを弾いていた磯村和英氏も加わりヴァイオリン2、ヴィオラ2、チェロ2で堂々の六重奏です。磯村、ズロトニコフははそれぞれ第1ヴィオラ、第1チェロを弾き全体をリードする形となり、圧巻の六重奏でした。
アンコールは、ブラームスのスケルツオを再演です。

 

ラボ・エクセルシオ 新章Ⅵ

2月4日(日)

クァルテット・エクセルシオの現代から未来へ、弦楽四重奏の実験的挑戦。
東京オペラシティ―、近江楽堂にて

ヴァスクス/弦楽四重奏曲第2番「夏の歌」
矢代秋雄/弦楽四重奏曲
~休憩~
バルトーク/弦楽四重奏曲第6番

現代音楽の最先端を聴くことが出来ると遠くからわざわざやってきている人もいますので、近江楽堂内は緊張に包まれています。
プレトークがあり、渡辺和さんの司会で作曲家の西村朗さんをゲストに招き、面白おかしく師である矢代秋雄さんについて語っていただきました。

ヴァスクス(1946-)の「夏の歌」についてはGRECOで聴いた曲です。
ラトヴィア生まれのヴァスクス、Ⅰ「花ひらく」Ⅱ「鳥たち」Ⅲ「悲歌」何か静かで悲しげな北の国の花や鳥のような曲。

矢代秋雄(1929-76)さんの弦楽四重奏は、1954-1955年にかけて書かれ、5年間のパリ留学時代に完成した唯一の作品で、「大人の作曲家」としての第一歩を踏み出したものといえると本人が言っている。帰国後この作品に毎日音楽賞が与えられとても勇気づけられたと。完成度の高い素晴らしい作品で、プレトークで大友君が言っていたように3楽章重厚な出だしが印象的。

バルトーク(1881-1945)の弦楽四重奏曲6番は、アルバン・ベルク四重奏団が最後のコンサートに選んだのがシューベルトの最後の弦楽四重奏曲とバルトークの6番だったとチェロの大友君が言っていましたが、、ヴィオラ独奏が全曲の中心となるメスト(悲嘆)旋律から4楽章までメスト(悲嘆)で埋め尽くされる。

ビーナスフォート

お台場のビーナスフォートに用事があって行ってきました。

17世紀から18世紀のヨーロッパの街並みをイメージして作り上げており、吹き抜けの天井が時間によって青空から夕暮れそして夜へと変化する。
10年前くらいは若者がいっぱいに溢れており、混雑していたらしいんですが、今やゴーストタウンと化している。
お台場全体にそんな雰囲気が漂っているようです。

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